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「ゼロコロナ」徹底の中国でオミクロン爆発の実態

オミクロン変異株の感染急拡大で、ゼロコロナ政策を掲げる中国政府は最大の難関を迎えている。
中国東北部の吉林省では新型コロナウイルスの感染拡大が深刻だ。
春に入り、中国では2年前に武漢で新型コロナウイルスの感染が確認されて以来、最大規模で感染が拡大。中国本土では3月1日から21日までで、計4万人近くの感染者が報告された(海外からの帰国者除く)。
上海や深圳といった大都市から、地方都市に至るまで、オミクロン変異株の感染が拡大し、各地で「ロックダウン」が実施された。中国政府が推し進める「ゼロコロナ政策」は最大の難関を迎えている。
感染拡大の「嵐の中心」と称される東北部・吉林省の状況を中国の調査報道メディア「財新」が徹底取材した。


春先でも摂氏4度と肌寒さが残る、中国東北部の吉林省吉林市。新型コロナウイルスの無症状感染者である大学生の劉佳は、防護服を身にまとい、その上からかばんを背負って座っていた。
病院の廊下では、ときおり咳払いの音が響き渡る。3月11日、PCR検査で陽性と診断された吉林農業科技学院のほかの学生とともに、劉は学校の図書館から吉林医薬学院附属465病院に搬送された。
劉は看護師から渡された採血管をポケットに入れて、昼も夜も待ったが、誰も精密検査をしてくれなかった。劉の周りにいた女性数人は、家族に動画を送り、声を詰まらせながら泣いていた。
3月6日、劉の斜め向かいの寮の学生が陽性と診断された。劉は準濃厚接触者として大学構内にある図書館の4階で隔離され、ほかの17人の接触者とともに、机の上で寝泊まりすることとなった。
「寮全体がとても混乱していました。私たちは陽性と診断された学生をまったく知りませんでしたが、2日後に私自身も陽性になっていました」。その日、吉林農業科技学院は最初の症例を報告し、学校全体が封鎖された。
封鎖措置を取っても追いつかない
(吉林市から)100キロメートル離れた吉林省長春市では、九台十二中学校に通う賀小煒(フゥー・シャオウェイ)のもとに、3月5日の晩に学校から通知が届いた。「授業を直ちに中止し、(校内にいる)全員に対して帰宅を求める」という内容だ。
そのとき、賀は身の危険を感じていなかった。中学校では4日と5日に、全員に対して2回PCR検査を行い、何も異常がなかったからだ。しかし8日の午前中、頭痛が始まり、37.6度まで熱が上がった。9日に賀には陽性の診断が出され、その後ほかの6人のクラスメイトも陽性と診断された。
多くの学校における感染拡大は、今回の中国本土での感染拡大の「縮図」とも言える。(学校から)最初の症例の報告があったときには、集団感染がすでに発生し、感染経路は錯綜して複雑化している。すぐに封鎖措置を取ったとしても、数日中に感染者が指数関数的に増加することを阻止するのは難しい。
(中国全土を見ると)中国本土と香港の往来が最も多い広東省深圳市が、最初に(オミクロン変異株の)感染拡大地域となった。2月12日以降、深圳市では新規感染者数が「ゼロ」の日がなく、最初の2週間の新規感染者数は1桁で推移していた。ところが2月末になって、感染者数は突如2桁に上昇した。
遠く離れた吉林省は、最終的に嵐の中心となった。2月28日、延辺朝鮮族自治州琿春(こんしゅん)市では、「検査をするべき」人たちの中から、PCR検査の検体採取で陽性と診断された人が1人現れた。後にそれはオミクロン変異株の1つであるBA.2に感染したものであることが確認された。ロシアと北朝鮮の国境にある人口20数万人の小さな市は、3月1日に直ちにロックダウンを宣言した。
吉林市と長春市で大規模感染が発生
しかしオミクロン変異株はすぐに吉林省内全体に波及し、吉林市と長春市で大規模感染が発生した。吉林市では3月3日に感染者1人と無症状感染者3人が報告され、3月9日に新規感染者数は283人となった。武漢市を除いた中国本土において、吉林市は2020年以来1日の新規感染者数が200人を超えた、初めての都市となった。
その後も引き続き増加し、3月12日には新規感染者数は1268人になった。長春市では1日の新規感染者数が3月11日に100人を超え、翌日には873人になった。
中国全土の状況に目をむけると、3月1日~17日までに、27の省で感染が拡大した。福建省、遼寧省、陝西省、河北省、甘粛省など10以上の省それぞれで200人以上の感染者が確認された。中国全土で累計2万5420人の陽性者が報告された。感染者数においても、流行の範囲においても、武漢市での感染拡大以来の最高記録を更新している。
「早期発見、早期報告、早期隔離、早期治療」に重点を置き、地区別の封鎖管理、人流の遮断を主な手段とする中国の「ゼロコロナ」戦略。実施から2年後になぜ最大の難関に突然ぶつかったのか。
主な外的要因には、オミクロン変異株の高い感染力と浸透力がある。多くの疫学研究者は、BA.2は感染力が強く、患者数が1.5〜3日で倍になり、病毒性も弱いことから、症例がすぐに発見しづらくなっていると説明する。
そのため(ある住宅団地で)最初の症例が報告されたときには、そこでウイルスはすでにひそかに感染が広がっていることが多い。また中国全土での感染拡大に伴い、多くの地域での中国国外からの流入や、省外への流出、現地(省外)での感染拡大、省内での拡散などが、重層的に、かつ複雑化して発生する局面に入っている。そのため、(詳細な)感染経路をたどることは非常に困難になっている。
1日2、3時間しか寝られない医療スタッフ
かつては感染経路を辿ることでその発生源を見つけ、症例が発見された地域で大規模なPCRスクリーニング検査を実施することが「早期発見・早期隔離」のための重要な手段だった。ところがオミクロン株の感染拡大後は、検査の作業効率が限界に達し、ウイルスの拡散に追いつくことがますます難しくなっている。
疫学研究者は、「複数回に及ぶ大規模なPCRスクリーニング検査を全市で実施することになれば、多くの第三者検査機関が『6時間以内に検査結果を出す』という政府の要求を満たすことが困難になる」と語る。
吉林市のある医師の家族は、「感染が拡大してから、警察、検察庁、裁判所、政府系事業組織、国有企業などの全職員がボランティア活動に投入され、24時間交代勤務で、医療スタッフは1日2、3時間しか寝られないのが普通の状態になっている」と語る。
3月16日に財新記者が吉林市の慈善総会に電話で問い合わせたところ、PCR検査の検体採取に携わるボランティアや医療スタッフは、少なくとも1日に防護服1セット、手袋4組、(医療用である)N95マスク2枚を必要とするが、現在手元にある防疫用品は2~3日しか持たないという。
摂氏マイナス1~10度と氷点下の気温になる日も多く、スタッフは大雪に耐えながらPCR検査の検体を採取しているが、彼らは「お金があるなら、防護服の購入に回してほしい」と、暖宝宝(使い捨てカイロのような商品)の寄付の申し出を断ったという。
内部の手抜かりも露呈する
感染拡大は、こうした外的要因だけでなく、内部の手抜かりも明らかにした。 突然のオミクロン変異株との「白兵戦」は、現場のプレッシャーを増長させ、(感染拡大を)コントロールするうえでも多くの混乱を招いた。
吉林農業科技学院のある学生は、「学校側は初期のPCRスクリーニング検査で陽性だった人と濃厚接触者を同じ空間に隔離し、適切なタイミングで(医療機関への)搬送を手配していなかった。さらには学校封鎖後に生活物資の提供を遮断していた」と主張した。この学生からの暴露があった3月10日、同校の共産党委員書記は職務を解かれた。
3月11日には、ある4歳の女児が長春市農安県人民病院にかかった際、PCR検査の結果を待つ必要があると言われた。しかし急性喉頭炎で呼吸困難に陥って、心肺停止となり、結果的に死亡したと、女児の家族が3月15日にSNS上で暴露した。
患者数の急拡大に直面したことで、医療体制に不備があることも露呈した。 (吉林省の)公式情報によると、省内には2つの指定病院に552の病床があるが、感染拡大発生から数日後には病床が逼迫した。
3月16日に吉林省内で開催された感染拡大の防止と抑制に関する発表会で、吉林大学第二病院、呼吸・救命救急科の高鵬主任医師は、現在、長春市に1カ所、琿春市に1カ所、吉林市に6カ所の、計8カ所のコンテナ病院(訳注:新型肺炎患者を収容するため、既存施設を改装してできた臨時病院)が建設中であり、病床数は合計で1万1488床になると発表した。
感染拡大における現場の混乱は、責任を問われる役人の数にも表れている。 不完全ではあるものの、財新記者が集計したところ、4省で45人の各レベルの役人が責任を問われ、そのうち22人が解任となり、9人が免職となった(記事執筆時点)。
「感染拡大は2年間続き、戦線は拡大している」。
上海交通大学の国際公共政策学院教授を務める趙大海氏は、「感染拡大の防止対策が常態化したことで、医療スタッフの緩みや管理ミスを避けることが難しくなっている」と述べた。そのうえで重要になるのは「規制対象エリアの管理に携わるスタッフの合理的な交代など、科学的かつ人道的な手段で(感染対策の)実施効果を上げることだ」と語った。
 ざまあw