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漁獲量激減の和歌山・田辺湾 市が今秋に海底調査

© 産経新聞 海底耕耘のイメージ(第34回有明海・八代海等総合調査評価委員会の資料から)
和歌山県田辺市は今秋、田辺湾内の海底土を調査する。近年、漁獲量が激減しており、漁業関係者からは、植物プランクトンの栄養となる窒素やリンが不足しているため魚が減少したのではないか、という声が出ていた。市は海底の土にどの程度窒素やリンがあるか調べ、令和5年度以降、海底の土中を掘り起こしてこうした栄養分を放出する「海底耕耘(こううん)」を始めたいとしている。
田辺湾は田辺市のほか白浜町の沖合を含む海域で、イサキやアジ、イワシ、シラスなどがとれる漁場として知られていたが、より沖合の漁場を含む市内の漁獲量は激減している。
和歌山南漁協の統計によると、昭和55年に8566トンあったが、平成元年6277トン、13年5705トン、23年4893トン、25年3100トンと減少。令和元年(4月までは平成31年)は1859トンまで落ち込んでいた。
漁獲量落ち込みの原因としては、後継者不足による漁業従事者の減少や、黒潮が「ひ」の字形に蛇行する黒潮大蛇行などのほか、海の栄養分の減少が、漁業従事者から指摘されていた。窒素やリンは植物プランクトンが生育するのに栄養となる物質で、少なくなれば、これを食べる動物プランクトン、そして動物プランクトンを食べる魚が減少してしまう。
こうした現象は貧栄養化と呼ばれ、水質が向上する一方で生じるとされ、瀬戸内海などで起きている。
市は田辺湾でどの程度、貧栄養化が進行しているかを探るため9~10月ごろに海底の土で窒素やリンの含有量や微生物量などを調べる。これまでも湾内の7カ所で重金属類を調査しており、今回新たな調査項目を加える。
湾内7カ所の状況を把握したうえで、5年度以降、海底の土を掘り返して海の栄養を高める海底耕耘に着手したいという。海底耕耘は船がすきのような器具を引いて海底の土を攪拌(かくはん)する作業で、海中に土中の栄養分を放出する。瀬戸内海などで実施されている。
市水産課の永井幸彦課長は「まず海の状況の調査結果をみたうえで、県水産試験場と協議して海底耕耘の実施場所や手法を決めたい。少しでも海洋資源が回復できれば」と話している。(張英壽)
過ぎたるは猶及ばざるが如し