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安倍総理の志は死なない!!

中国、「物言う遺族」は今も封じ込め対象…武漢に行けば必ず尾行

 【武漢=川瀬大介】新型コロナウイルスの感染が最初に広がった中国湖北省武漢市でロックダウン(都市封鎖)が行われてから23日で3年となった。中国では今月上旬に「ゼロコロナ」政策が終了し、4年ぶりに移動制限のない春節(旧正月)の大型連休を迎えたが、武漢では、政府の感染対策に不満を抱く住民への締め付けは変わらず続く。

23日、中国湖北省武漢市で、感染拡大当初に多くの患者が訪れた市内の病院はひっそりとしていた=川瀬大介撮影© 読売新聞
 市内では、23日も観光名所や商業施設に多くの人が集まった。帰省している住民も多い。地元出身の男性運転手(53)は「やっと自由に動けるようになった。今年は良い年になる」。中国では全国的に深刻な感染拡大が続くものの、住民は久しぶりの自由な春節を満喫していた。
 習近平(シージンピン)政権は、2020年に講じた武漢での強制的な封鎖対応を「成功」と位置づけ、「党の指導と我が国の社会主義制度の優位性を示した」と主張してきた。国営新華社通信は19日、ゼロコロナの終了を踏まえて過去3年の感染対策を総括し、武漢にも触れて「防衛戦は決定的な成果を上げた」と改めて強調した。
 成果を誇示した上で、経済立て直しなど「コロナ後」に進みたい政権からすれば、国内外に感染急拡大を招いたとする武漢での初期対応に対する批判は、今でも封じ込めの対象となる。
 武漢市内に住む女性は封鎖から約1年後の21年2月、父を肺がんで亡くした。封鎖によって通院できずに病状を悪化させた「関連死」だったと考えている。封鎖から3年となった思いを聞こうと連絡を取ると、「会うことはできない」と、警戒感をあらわにした。
 女性は封鎖開始の前日、父を連れて行った病院で、マスクを着用していた人はほぼいなかったと記憶している。「当局が情報を迅速に公開していれば、感染はあれほど拡大せず、父は死ななかったのではないか」。女性は、そんな思いを外国メディアに語ったことがある。その後、当局者から尾行で威嚇された恐怖が今も忘れられないという。
 武漢に住んでいた父を新型コロナで亡くし、地元政府などを相手取った訴訟を準備する広東省深センの張海さん(53)への当局の監視は進行中だ。武漢に行けば必ず尾行が付き、張さんと連絡を取り合う武漢市内の遺族の女性も24時間態勢で監視されている。張さんらのような「物言う遺族」は確実に減っている。