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「アピールさせてください」F-35A戦闘機アジア最大のインド航空ショーに初参加 アメリカの意図

アメリカの外交・安全保障政策をアピール
 インド南部の都市バンガロールにあるイェラハンカ空軍基地において、2023年2月13日から17日の間「エアロ・インディア23」が開催されました。このイベントは、防衛関係も含めた航空業界のトレードショー(見本市)で、本物の航空機が展示・デモ飛行を行うだけでなく、政府関係者と企業が商談を行い、大口取引の契約締結などが行われます。
 なお、参加する国は全部で30か国以上もあり、航空宇宙関係の企業については811にものぼります。ゆえに、アジア地域の航空イベントでは最大規模と称されるほどです。

エアロ・インディア23で、観客の前で離陸準備を行うF-35A「ライトニングII」(画像:アメリカ空軍)。© 乗りものニュース 提供
 今回の「エアロ・インディア23」で話題のひとつとなったのは、アメリカから最新鋭ステルス戦闘機F-35A「ライトニングII」が初めて参加したことでしょう。
 インド軍はその装備の多くがロシア製兵器で占められているため、F-35の導入については正式に検討しておらず、その導入自体も難しいとされています。さらに、過去にはロシアのステルス戦闘機Su-57「ファロン」をベースにした新型戦闘機(FGFA)の共同開発も行っており(現在は計画から撤退)、現時点においてインドはF-35Aの潜在的な購入先とはみなされていません。それでも、なぜアメリカはわざわざ最新鋭の戦闘機をここに持ち込んで展示したのでしょうか。
 この疑問について、「エアロ・インディア23」に参加したアメリカ空軍の国際関係担当副次官補ジョリアン・C・チーター少将は次のようにコメントしています。
「アメリカ軍がエアロ・インディアへ参加することは、アメリカの空軍力の強さを実証する機会だからです。自由で開かれたインド太平洋という各国共通のビジョンを推進するために、インドのような志を同じくするパートナーと協力する場所になります」
 要は、トレードショーにアメリカ軍が参加することは、ビジネス以外点でもメリットがあるということのようです。「エアロ・インディア23」に参加するのは兵器の売買に係わる防衛産業の関係企業だけでなく、それらを実際に運用する軍や政府代表団も含まれます。
 そうした各国の防衛・外交関係者が集まる国際的なイベントでアメリカ空軍の戦闘機を披露することは、戦闘機自体の能力だけでなく、アメリカの外交・安全保障政策をアピールするのにも繋がるということのようです。
F-35以外にも! エアロ・インディアに参加した米軍機たち
 ちなみに、アメリカ空軍ではこのような一般公開イベントにおいて、自国の戦闘機を最大限にアピールするための専門の演技部隊を用意しています。それがF-35デモンストレーションチームです。

F-35デモンストレーションチームによるデモ飛行。飛行内容は戦闘機としての機体性能を発揮したアクロバット飛行が主体(画像:アメリカ空軍)。© 乗りものニュース 提供
 アメリカ空軍では、運用する軍用機ごとに専属のデモンストレーションチームを組織しており、F-35以外にも、F-22「ラプター」戦闘機、F-16「ファイティング・ファルコン」戦闘機、A-10C「サンダーボルトII」攻撃機、C-17「グローブマスターIII」輸送機などが存在します。
 特にF-16の場合はアメリカ本土のチームとは別に、三沢基地に太平洋空軍(PACAF)所属のデモチーム「PACAF F-16 Demo Team」が所在しています。このチームは日本の航空祭などで飛行展示をたびたびおこなっているため、飛行機好きのあいだでは割とよく知られた存在といえるでしょう。
 これらチームは、ただ機体をイベントに持ち込んで展示するだけでなく、実際に機体を使った飛行まで行います。F-35Aのような戦闘機の場合、機体の運動性能を生かしたアクロバット飛行のような演技を見せてくれます。そのなかには実戦的な飛び方と決して言えないようなものもあったりしますが、それでもその戦闘機とアメリカ空軍の存在感をアピールするには十分です。
 なお、今回の「エアロ・インディア23」に参加したのはF-35Aだけではありませんでした。前述した三沢所在のデモンストレーションチーム「PACAF F-16 Demo Team」がF-16C 「ファイティング・ファルコン」戦闘機とともに姿を見せたほか、B-1B「ランサー」爆撃機も持ち込まれ、それぞれがイベント中に飛行まで行っています。また、アメリカ海軍も岩国基地から主力艦載機のF/A-18「スーパーホーネット」戦闘機を派遣し、機体を展示しています。
 これら現地へ駆けつけた機体を眺めてみると、アメリカが自軍の航空戦力をアピールするためにかなり力を入れたことがわかります。逆に言うと、アメリカがインドを重要視するようになった。今回の「エアロ・インディア23」はそう捉えることができるかもしれません。