Shinzo-Returns

安倍総理の志は死なない!!

お金は知っている 財務省による増税が壊す財政規律 アベノミクスで初めて守られた…安倍氏に感謝してもよいくらい

大蔵省(現財務省)のドンだった齋藤次郎氏(87歳)が突如、月刊「文藝春秋」5月号に登場した。タイトルは「『安倍晋三 回顧録』に反論する」である。

お金は知っている 財務省による増税が壊す財政規律 アベノミクスで初めて守られた…安倍氏に感謝してもよいくらい© zakzak 提供
安倍氏は回顧録で、財務省との暗闘ぶりを率直かつ明確に吐露している。「彼らは省益のためなら政権を倒すことも辞さない」「国が滅びても、財政規律が保たれてさえいれば、満足なんです」という具合である。
これに対し、現役の財務官僚は無反応だ。拙論の体験からしてもそうだ。財務官僚は消費税増税をしかけるたびにマスコミ各社の幹部を訪ね、財政均衡のためには消費税の増税や歳出削減の必要性を訴える。応対した拙論がデフレ圧力の中での増税は国民を苦しめると反対しても、何一つ言い返さない。2019年秋の消費税増税前には、財務次官が拙論を直接指名して、社の経営トップから編集、論説の面々が居並ぶ会合で直接私と議論したいと申し入れてきた。単身で乗り込んだ財務次官は「社会保障財源確保のためで、ご理解を」の一点張りで、拙論の反対論には一切触れなかった。
ともかく、財務省OBの代表格である齋藤氏がこの期に及んで堂々と口を開いたことは、よいことだと評価したい。まずは国内総生産(GDP)の5割相当に上る予算を仕切っている官僚のみなさんがもの言わずうっ屈したままだと精神的な健康によくない。エリートが活き活きしないと国が滅びる。それでは困る。
さて齋藤氏の「反論」の中身だが、拙論の目からすれば、失礼ながら泣き言のようで、安倍発言の迫力を押し返す域にはほど遠い。齋藤氏は、安倍さんが「財務省は省益のためなら政権を倒すことも辞さない」と断じていることが「どうしても理解できなかった」と述べている。齋藤氏自体、1990年代半ば、小沢一郎衆院議員(80歳)など当時の政界実力者を裏で使嗾したことで超大物次官の名を高からしめた。安倍氏は、財務官僚が敷いた消費税増税実施を延期するために、総選挙を実施して政権基盤を固めたほど、「倒閣運動」を恐れた。財務官僚の政界に対する影響力はすさまじい。民主党政権時代の菅直人、野田佳彦首相をして消費税率を3%、2%と2段階での大幅引き上げに前のめりにさせた。さすがに省内では大幅過ぎるとの異論が出た。すると幹部は「財務省の言うことを聞く民主党政権の今を逃してはならぬ」と一喝した。
齋藤氏は「財政規律が崩壊すれば、国は本当に崩壊してしまいます」「財政健全化のために増税は避けられず」と言う。だがグラフを見ればよい。
1997年度の橋本龍太郎政権の消費税増税と緊縮財政以降、政府債務が膨張し、国内総生産(GDP)は萎縮し続けた。増税が財政規律を壊したのだ。財務省を批判する安倍氏がアベノミクスを立ち上げると、政府債務のGDP比率の上昇はピタッと止まった。財政収支も均衡させた。税収も増えた。1990年代後半以降、初めて財政規律は守られたことになる。財務省は安倍氏に感謝してもよいくらいだ。 (産経新聞特別記者・田村秀男)