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安倍総理の志は死なない!!

LGBT法案への米駐日大使の「外圧」に警戒 内政干渉は言語道断 類似する米民主党の「イデオロギー政策」と中国の「社会信用システム」

LGBTなど性的少数者への理解増進法案については、米ジョー・バイデン政権の強い影響力がうかがえる。国際投資アナリストの大原浩氏は緊急寄稿で、米民主党の「イデオロギー政策」と中国のシステムの類似性を指摘、日本は「圧力」に屈するべきではないと強調する。
ラーム・エマニュエル駐日大使は12日、日本におけるLGBTなど性的少数者の権利を支持する動画をツイッターで公開した。これは明らかに、現在日本で大きな論争となっているLGBT法案を成立させようとする「外圧」と判断される。駐日大使という立場で日本に対して内政干渉を行うなど言語道断である。
われわれが注意しなければならないのは、エマニュエル大使が実のところ、「米国」を代表しているのではなく、米民主党の「イデオロギー」を代表しているということだ。
それを明確に表しているのが、共和党大統領候補のロン・デサンティスフロリダ州知事の言動である。同州では5月2日、デサンティス知事の署名により、ESG(環境・社会・企業統治)投資の活動を制限する「反ESG法」が成立した。背景には、民主党が押し付けるESG投資に対する反発が、共和党を中心に大きなうねりになっていることがある。
ESGが扱う範囲は広いが、例えば「脱炭素」がある。「人類が排出する二酸化炭素が地球温暖化を促進している」との主張には明確な科学的根拠が見当たらない。しかし、そのイデオロギーを基準に、ファンドや銀行は企業への出資や融資を判断する。その結果、人類にとって極めて重要な石油を始めとする化石燃料関連ビジネスに十分な投資が行われず、エネルギー危機を招いた。増産したくてもあまり余地がないのが現状だ。
LGBTもESGの重要な要素である。東急歌舞伎町タワーの「ジェンダーレストイレ」が物議をかもしている。もちろん「少数者への配慮」は重要だが、多数派の「生物学的女性」が恐怖や不安を感じるようでは本末転倒である。
企業にとっても多数派の生物学的女性を敵に回すことは望ましくない。しかし、それでもそのような施策を続けるところにESG投資の恐ろしさがある。どのように理不尽に思えるイデオロギーであっても、それに従わなければ企業活動の生命線である投資や融資を受けられなくなるのだ。
米国では、融資や決済サービスの「顧客」に対して、政治的信条などの「非財務的情報」による選別が行われているとの報告がある。
メガバンクに口座を持っている顧客が「ジェンダーレストイレに反対」という「非財務的情報」によって預金口座を凍結されたり、融資を断られたりしたらどうであろうか。米国ではそのようなことが現実に進行しており、デサンティス氏が「反ESG」の立場を明確にするのも当然だ。
米民主党が推進しているESG(投資)は、中国の「社会信用システム」に酷似している。中国政府が全国民をランク付けし、インターネットなどでの言動も「評価スコア」に反映されていると伝えられる。
中国共産党のことだから、「社会信用システム」を純粋に経済的な目的だけに使うとは考えにくい。同じことはESG投資を推進する米民主党にも言え、「中国共産党化」が猛スピードで進んでいるのだ。
2024年の米大統領選で共和党が政権を取り戻した場合、民主党が主導したイデオロギーの排除に乗り出すはずだ。したがって、日本は米民主党の「圧力」を法案成立に影響させるべきではない。
■大原浩(おおはら・ひろし) 人間経済科学研究所執行パートナーで国際投資アナリスト。仏クレディ・リヨネ銀行などで金融の現場に携わる。夕刊フジで「バフェットの次を行く投資術」(木曜掲載)を連載中。