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安倍総理の志は死なない!!

エマニュエル駐日米大使の「LGBT発言」は不適切 GHQのもくろみを粉砕、内政干渉に対抗した「山崎猛首班事件」に学べ

ラーム・エマニュエル駐日米大使が12日、15の国と地域の在日外国公館の大使らが出演する動画をSNS上に投稿し、「LGBTを含めた多様な性コミュニティーを支援し、差別に反対する」と呼びかけた。
エマニュエル氏は1日付の東京新聞でも同性婚について「早期法制化を」と主張。3日付の朝日新聞でもジェンダー平等や性的少数者の権利保護について「日本政府が、地方自治体や世論に追いつくことを望む」と述べ、わが国政府の姿勢を暗に批判した。
米国の意思というより、個人的な趣向なのかもしれないが、駐日大使という立場をわきまえない、極めて不適切な発言と言わざるを得ない。
わが国は今まさに、LGBT理解増進法案の詰めの議論を行っている。その最中に、外国の大使がこのようなメッセージを発することは、わが国に法制定するよう圧力をかける趣旨と受け取られても仕方がない。「内政干渉」そのものであり、看過できない。
かつて、わが国には米国の内政干渉に身をていして対抗した政治家がいた。1948年、いわゆる「幻の山崎猛首班」事件の山崎猛衆院議員だ。
政財官から多数の逮捕者が出た贈収賄汚職事件「昭電疑獄」で芦田均内閣が退陣した後、後継首班は吉田茂民主自由党総裁が有力視されていた。
しかし、吉田氏の「保守的」な政治姿勢を嫌った連合国総司令部(GHQ)は、党幹事長だった山崎氏を首班とするよう画策。首班指名に介入してきたのである。
山崎氏はこれに対抗するため、議員辞職願を衆院議長に提出。首班指名を受ける資格を放棄し、GHQのもくろみを粉砕した。自ら議員バッジを外すことで、内政干渉からわが国の議会政治を守った。
政治家である以上、一度は首相をやってみたいと考えても不思議ではなかったはずだ。しかし、山崎氏はそうしなかった。その見識と矜持(きょうじ)に頭が下がる。
内政干渉は内容にかかわらず否定しなければならない。「吉田氏、山崎氏のどちらが首相としてふさわしいか」ではない。内政干渉そのものを成就させてはならない、という思いだったのではないか。
この故事にならえば、これ以上、エマニュエル氏からの内政干渉発言が続くようだとLGBT理解増進法案を成立させるわけにはいかなくなるのではないか。日本が、大使の発言に屈していないことを証明するには、同法案を成立させないことが一番、分かりやすい。
もし成立させれば、「大使の発言に影響を受けていない」「国民の自主的な判断だ」と抗弁しても、「圧力に屈した」と受け取られてしまうだろう。日本として、それは受け入れられない屈辱ではないのか。それほど重大で不適切な発言をしたエマニュエル氏には、謝罪を求めたい。 (政治評論家)