Shinzo-Returns

安倍総理の志は死なない!!

だから重税マダオウイルスの駆除はすべてに優先する

政府税調の新方針が話題、財政再建の自己目的化に要注意 われわれの生活を立て直さない限り…未来の世代は貧しくなる


首相の諮問機関である政府税制調査会がまとめた「中期答申」が話題だ。岸田文雄首相の諮問をもとにして、「新しい資本主義」に適応した「あるべき税制」を提示したものとなっている。さまざまな税制改革が提起されているが、私は最大のポイントを租税の「十分性」が打ち出されたことにみる。
今まで税制で打ち出されていた三原則「公平・中立・簡素」に加えて、今回の答申では「十分性」が新たに強調された。少子高齢化や地球環境問題などでこれからも財政からの支援が必要になる、その財政を支えるには「十分」な財源が必要だという発想である。いわゆる財政の維持可能性という問題だ。
いまの世代ができるだけ財政再建に配慮して緊縮し、将来世代に負担を残さない、という「世代間の公平」とも解釈できる。これだけ聞くとなんだか耳心地がいい。しかし要注意だ。今までは政府の経済財政諮問会議などでプライマリーバランス(PB、基礎的財政収支)の黒字化として掲げられていたものに近い発想だ。
PBの黒字化は、債務償還以外の歳出を税収だけで賄うことができる状態だ。もともと積極財政を唱えた経済学者、エブセイ・ドーマーが考えたアイデアだった。積極的な財政を行えば経済が回復し、税収増などで財政も安定化する、という考えだ。だが日本では、不況であってもPBの黒字を目指すという緊縮財政の手段に使われてきた。最近は、世論や自民党内の反対もあり以前ほど表舞台で強調はされていない。だが、岸田文雄政権はこの目標を放棄してはいない。
政府税調の答申にある租税の「十分性」という新しい方針も、財政再建を優先する財務省的な発想が色濃く出ている。いまの日本経済はコロナ禍の影響をようやく脱して、生活実感に近い名目国内総生産(GDP)も過去最大に増えている。安倍晋三政権が目標にしていた名目GDP600兆円の実現も来年度に達成できるかもしれない。
もちろんまだ国民生活は不安定だ。ガソリン代や電気代の支援策も秋には切れてしまう。これは家計を直撃する。岸田政権は途切れることなく積極財政で国民生活を支えるべきだ。積極財政で支えることで、名目GDPはさらに拡大し、税収も増え、その結果として財政再建が果たせる。財政再建自体を自己目的化するのは避けるべきだ。
いま生きているわれわれの生活を立て直さないかぎり、未来の世代は貧しくなる。この当たり前の事実を、財務省やその信者たち(ザイム真理教徒)は理解できないのだ。 (上武大学教授)