Shinzo-Returns

安倍総理の志は死なない!!

日本人限定で教育費の公的負担を!

教育費、家を買うのと同じくらいの負担
──金融機関によっては「住宅ローンの返済額は手取りの20~25%」というようなローンの組み方を勧めることがあり、年収500万円で3,000万円ほど借り入れることもあります。教育費は家を買うのと同じくらいの負担となります。
荻原「共働きで一定の収入があれば別ですが、子どもの大学進学の費用を考えると、世帯年収が1,000万円ほどないと難しいかと思います。
金融機関が設定する住宅ローンの金額設定は、必ずしも親身になって提案しているとは限りません。そうした住宅ローンに加えて、同等の金額の教育費を抱えるのでは、家計は破たんしかねません」
「国が教育にお金をかけなくなった」ワケ
──「骨太の方針2023」にある教育費負担軽減の対応策は、非課税世帯などを対象に実施(※2020年〜)している「授業料の減免」や「給付型奨学金」を多子世帯や理工農系の学生の中間層に拡大するに留まっています。また、質の高い教育に必要な、教員や補助者の増員にも言及していません。
荻原「そもそも約20年前から、国は教育にお金をかけなくなったのです。2001年4月に発足した小泉純一郎政権は、当時ブレーンだった竹中平蔵・慶應義塾大学名誉教授(※現在)と「新自由主義」を取り入れていきました。
新自由主義とは、国による福祉や公共サービスを縮小して市場原理主義を取り入れるため、規制緩和を行う経済思想です。経済界の要望を受けて雇用の規制緩和を進め、非正規雇用を増大させたのも小泉元首相です。
小泉元首相が所信表明で『米百俵』と言ったときには教育に予算を投じると思ったのですが、自分が真っ先にお米を食べてしまったのです」
──2001年5月に行われた小泉元首相の所信表明演説では、新潟県長岡市で伝えられている「米百俵」の話が引き合いに出されました。
「米百俵」とは、幕末に城下町が焼け野原となり食べるに困る長岡藩の窮状を知った三根山藩(現在の新潟市西蒲区峰岡)から米百俵が支援されたものの、長岡藩は文武両道に必要な書籍や器具を購入するために米を売って地元の「国漢学校」の資金に充てたというものでしたね。そのおかげで国漢学校からは逸材が多く輩出したと言われています。
小泉元首相は「今の痛みに耐えて明日を良くしようという『米百俵の精神』こそ、改革を進めようとする今日の我々に必要」と訴えました。小泉政権の2001年度から「骨太の方針」と「聖域なき構造改革」が始まり、規制改革路線に突き進みました。
荻原「小泉政権は2004年度から国立大学を独立行政法人化しました。『財務省と文部科学省、両省からの予算に縛られない、独自の資金調達を可能にする』などを名目に、それまで文部科学省の内部組織だった国立大学に法人格をもたせました。
しかし、実際に行われたのは運営費を毎年1%ずつ削減するというもの。研究費が削られ、大学は人件費削減のために非常勤講師を増やし、教員がリストラされていきました。そして、国公立の授業料は少しずつ高くなっています。教育費は国が出すべきで、もとの国立大学に戻したほうがいい。
とにかく学費を安くしなければなりません。政府はリスキリング(学び直し)に5年間で1兆円の予算をかけると言いますが、それを大学に投じるべきです。
国がしている少子化対策は全て逆効果で、少子化を加速させるだけです。ヨーロッパでは大学の費用が多くかからないのに、日本は国が教育にお金を出さない。これでは国力も上がりません」
公教育の向上が必要
──世界と比べて日本の賃金は伸び悩み、平均年収を得ていても家計が辛い状況です。その原因のひとつが、まさに教育費。さらに都市部では中学受験が過熱していて、小学4年生ごろから年間に約100万から200万円を塾代に費やす。世帯年収が1,000万円あっても、「中学受験で家計は火の車」というケースが少なくないようです。
──公教育の質の向上が必要ですね。
人には多様性があって、興味・関心のあるもので子どもは伸びていくものです。個々の才能を見つけるのが教育の役割ですが、とにかく今、学校の先生が忙しすぎて余裕がありません。子ども一人ひとりを伸ばす教育のため小学校の1クラスの人数を10人程度にすれば、安心できる子育てにつながるのではないでしょうか」