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安倍総理の志は死なない!!

自民小野寺氏「洋上風力発電は安全保障上の課題」

設置場所やどの国の企業が作っているか確認必要
FNNプライムオンライン
2023年08月21日
自民党の小野寺五典元防衛相(党安全保障調査会長)は20日、フジテレビ系『日曜報道 THE PRIME』(日曜午前7時30分)に出演し、「日米韓協力の新時代」を打ち出した18日の日米韓首脳会談の意義について、「韓国が政権交代しても、前のようにちゃぶ台返しやゴールポストを移すことが簡単にはできなくなる」との認識を示した。
日米韓首脳会談“前例なきレベル”へ
小野寺氏は防衛相だった頃に日本のイージス艦と米国のイージス艦を視察した際、日本のイージス艦内の情報画面には韓国軍の情報が反映されていなかったのに対し、米国のイージス艦内の情報画面には韓国軍の情報が反映されていたことを明らかにした。その上で今回の日米韓首脳会談を経て日本と韓国が情報共有できるようになれば、「日本の安全保障にもとても大きいプラスになる」と述べた。
元外交官の宮家邦彦氏(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)は、今回の日米韓首脳会談の意義に関し「(日米、日韓の)二国間の同盟はあるが、NATO(北大西洋条約機構)のような多国間(の集団安全保障体制の創設)は絶対に無理だ。二国間以上で多国間以下のものをどうつくっていくかということが(首脳会談の)ポイントだった」との見解を示した。
一方、離島や防衛関係施設周辺等での土地の所有・利用をめぐる安全保障上の懸念を受けて、 去年(2022年)施行された「重要土地等調査法」に関し、小野寺氏は「まだまだ不十分だ」との認識を示した。「ウクライナ戦争を見ても、重要インフラは基地と同様に重要な拠点ということがはっきりした」として、外国人や外国企業による重要インフラ周辺の土地所有規制を「強化していきたい」と強調した。
さらに小野寺氏は、洋上風力発電に関し「(設置)場所も、どの国(の企業)がつくっているかという資本もよく確認することがいま一番喫緊の課題だ」と話した。「いろんなところの申請が出ているが、風力発電が私どもとして困る場所につくられる(と問題がある)。例えば、レーダーを阻害する。あるいは、他の国の製品が使われていると、そこからどんな情報を日本から取っているかも分からない」と指摘した。
以下、番組での主なやりとり。
松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):歴史上さまざまな大きな会談が行われてきたアメリカ・キャンプデービッドで開かれた日米韓首脳会談だが、終了後の記者会見でバイデン大統領は、日米韓の防衛協力を「前例のないレベルに引き上げる」と述べた。
小野寺五典氏(元防衛相・自民党安全保障調査会長):アメリカは今までは一国で「君たちをしっかり守るよ」と言えたが、だんだん力が低下する中で、私どもが意識する周辺国が力をつける中で、連携して対応しないと持たないという別の一面もあるのではないか。
宮家邦彦氏(元外交官・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹):(米国としては)日韓関係改善のスピードをもう少し早めなければいけない(と考えた)。ヨーロッパでウクライナ戦争が起きている。中国も何か企んでいるかもしれない。いま何かやらなければいけない。ところが、(日米、日韓の)二国間の同盟はあるが、NATO(北大西洋条約機構)みたいなもの、多国間(の集団安全保障体制の創設)は絶対無理だ。だから、二国間以上で多国間以下のものをどう作っていくかということが(首脳会談の)ポイントだった。その核心は日韓だ。
防衛協力へ…ハードルは
橋下徹氏(番組コメンテーター・弁護士・元大阪府知事):韓国で有事が起きた時に韓国を支援するのは日本に駐留する在日米軍と、場合によっては(横田基地に所在する)朝鮮国連軍後方司令部だ。もうすでに(日韓は)同盟と言わなくても準同盟関係にあるのではないか。
小野寺氏:日本にある在日米軍基地は、韓国の支援のために相当の役割を果たすことになっている。本来であれば日本に対してその基地負担についても「日本に感謝する」と韓国から言ってもらうのが普通であり、以前はそういうことを発する韓国の政治家もいた。最近どうも日韓関係が悪くなって互いにあまりこの問題について本質を議論しなくなった。在日米軍基地はかなりの部分、そして(日本に駐留する)朝鮮国連軍後方司令部も、いざという時のためのものだ。日韓、日米韓の関係をしっかりすることは、日韓両国の安全保障にとって重要だ。
一番大きいのは、例えば、私が防衛大臣のとき、日本のイージス艦で日本の周辺はどうなっているかという情報を画面で見るのだが、日本のイージス艦で見ている映像と、たまたまアメリカのイージス艦に入って同じ映像を見ると、出てくる絵が違う。なぜかというと、アメリカのイージス艦は韓国の情報も入った上での一つのピクチャー(画像)で、周辺の状況が出てくるから。本来日本もこれを持つことは、日本の安全保障にもとても大きいプラスになる。今回、安全保障面で見れば、日韓、日米韓の関係は日本にとってもプラスになる。
日韓関係は文在寅前政権時にかなり悪化した。(韓国海軍駆逐艦が自衛隊哨戒機に対して行った)レーダー照射問題や、(韓国側による一方的な)GSOMIA(日韓秘密軍事情報保護協定)の破棄表明でギクシャクした。こういったことを完全に水に流せるのか。
小野寺氏:現場で任にあたっている隊員からすれば、非常に危険な状況に一時あったわけで、この問題についてはこれからも累次、防衛当局が確認する必要がある。今までは韓国の政権が代わると日本に対して急に違う対応をされることがあった。ところが、日米韓三か国が組んで今後新しい枠組みでやっていくとなれば、この対話のチャンネルは崩せないので、韓国の政権が代わったとしても前のようなちゃぶ台返しやゴールポストを移すことは簡単にできなくなる。そういう意味で、この三つでグリップすることは大事だ。
経済低迷“中国マネー”が狙う海外不動産
松山キャスター:(外国人や外国企業による土地購入の)経済活動としての部分と、安全保障上の問題は切り分けて考える必要があると思う。安全保障上の問題について具体的に動きだしているのが、共和党の大統領候補デサンティス知事のフロリダ州だ。7月1日から重要インフラ施設から10マイル(約16km)以内にある不動産について、中国、ロシア、イラン、北朝鮮などの個人・企業に対して購入・所有を禁止した。具体的な国名を上げて禁止する動きが出ている。今の日本の法整備ではここまで踏み込んでいないが、小野寺さんはこの動きをどう受け止めるか。
小野寺氏:本来あるべきだと思う。ただ、日本の場合、憲法の規定もあり、できる範囲で今ギリギリやってるのが「重要土地等調査法」だ。まずは重要インフラ周辺の土地所有者は誰で、どういう目的で取引が行われるのか監視し、万が一の場合には国が取得する等、いろんなことをようやくできるようになった。ただ、まだまだ不十分だ。まずは現行憲法下でこれをもっと規制すべきだ。実際、いまウクライナ戦争を見ても重要インフラは実は基地と同様に重要な拠点ということがはっきりした。安全保障上、私どもはしっかり監視をするし、外国人、あるいは外国企業がその周りの土地を所有して、逆に日本の安全保障が脅かされることがあれば本末転倒だから、ここは強化していきたい。
規制・法整備は必要か?
橋下氏:フロリダ州のデサンティス知事の考え方は、国名をあげてこの国の人に対しての取引を規制するということだが、僕はこれは違うと思う。重要施設だから、重要インフラだから、相手の国籍がどうであれ、重要インフラの周りの土地は買ってはいけないよと。国名や国籍で何か規制するというわけではないですよね。
小野寺氏:国名で規制すると、(買っても)いい国の人の名義を使って買って、結局それが別の国の資本で運用されてしまうこともある。だから国名で規定しても実効性はない。むしろ国がしっかり管理をする形を取っていく。国名は別として、その方が実効性はある。
宮家氏:日本で在日米軍基地の周りの土地が買われてしまって、しかもどこの国とは言わないが、間違いなくやってるだろうなという人たちがいる。そういうのを考えると、デサンティス氏のやり方がいいとは思わないが、やはりもう少し日本のレベルを上げないといけない。
小野寺氏:例えばいま、風力発電がある。洋上風力発電でいろんなところの申請が出ているが、実は、風力発電が私どもとして困る場所に作られると(問題だ)。例えば、レーダーを阻害する。あるいは、風力発電にほかの国の製品が使われ、そこからどんな情報を日本から取っているかもわからない。風力発電一つとっても、安全保障上管理する必要がある。(設置)場所も、どの国が作っているかという資本もよく確認することがいま一番喫緊の課題だ。