Shinzo-Returns

安倍総理の志は死なない!!

崖っぷちの習近平…! 中国のスパイ問題がバレて「習近平の代理」が国際会議で散々な目に…インドの「一帯一路」潰しも始まってついに追い詰められた…!

中国とインドの戦いが激化
グローバルサウスと呼ばれる新興国と途上国のリーダーの座を巡って、インドと中国の主導権争いが激しさを増している。
南アフリカで8月に開かれたBRICS首脳会議では、中国の習近平・国家主席がアルゼンチン、エジプト、エチオピア、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)の新規加盟を主導して圧倒的な存在感を示した。
これに対し、インドのモディ首相は、先週日曜日(9月10日)まで2日間の日程でニューデリーで開催されたG20(20カ国・地域)首脳会議で議長をつとめ、とりまとめが難しいとみられていた首脳宣言をG20史上初めて会期の初日に採択に漕ぎ着ける手腕を見せつけた。
加えて、インドからアラビア湾を経由して欧州に至る「インド・中東・欧州経済回廊」(IMEC、India – Middle East – Europe Economic Corridor)に関する覚書を米国、サウジアラビア、欧州連合(EU)など8カ国で締結、習近平・中国が過去10年にわたって建設に国力をついたしてきた巨大経済圏構想「一帯一路」に対抗していく構えも鮮明にした。
今週は、直近の中、印両国によるグローバルサウスの盟主の座を巡る闘いぶりと、新しい経済圏構想である「インド・中東・欧州経済回廊」についての情報を整理しておきたい。
まずは、先月のBRICS首脳会議を振り返ろう。8月22日から3日間の日程で、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカのBRICS5カ国は南アフリカのヨハネスブルクで首脳会議を開催した。
ロシアのプーチン大統領が国際刑事裁判所(ICC)からウクライナでの戦争犯罪容疑で逮捕状が出ており、ICC条約加盟の南アフリカを訪ねると同国の司法当局に逮捕されかねないという事情があり、プーチン大統領はオンラインでの遠隔参加にとどまったものの、それ以外の4カ国首脳は揃って対面で参加。新型コロナウイルス感染症のパンデミックを挟んで、2019年以来4年ぶりの対面のBRICS首脳会議となった。
BRICSの加盟国数の拡大
この会議の最大の目玉とされたのは、中国の習近平・国家主席が主導してきたとされるBRICSのメンバー拡大論議だ。当初は難色を示しているとされていたインドとブラジルも最後は賛成に回り、アルゼンチン、エジプト、エチオピア、イラン、サウジアラビア、UAEの6カ国のBRICSへの新規加盟が認められたことだ。
習主席が8月24日、新たに加盟が決まったイランのライシ大統領と会談し、「歴史的な出来事だ」「新メンバーはいずれも重要な影響力をもつ国で、世界に大きな影響を与えるだろう」と祝福したと、中国国営中央テレビ(CCTV)は誇らしげに報じている。米国と激しく対立し続けてきただけに、自国のリーダーの手柄を手放しで自画自賛する思惑が働いたのだろう。
もちろん、BRICSの加盟国数の拡大には相応の意味はあるだろう。加盟国間の意見調整は難しくなるものの、意見を集約して一致団結して主張を展開できれば、その影響力が強まると考えられるからだ。
とはいえ、BRICSは北大西洋条約機構(NATO)や欧州連合(EU)のような軍事、政治、経済の連合体ではないし、日米安全保障条約のような軍事同盟でもない。加盟国の間に共通の価値観や原則があるわけでも、加盟のための条約や常設の事務局が存在するわけでもない。現在の5カ国だけでも、各国の外交姿勢に大きな開きがあり、今後もそう簡単に習主席の思惑通りに動く組織に変容していくとは考えにくい。
そもそも、BRICSの始まりは、2001年当時、ゴールドマン・サックスのエコノミストだったジム・オニール氏(現英上院議員)が成長目覚ましかったブラジル、ロシア、インド、中国の新興4カ国の総称としてBRICsと呼んだことだ。
2009年になって、BRICs4か国は、ロシアで最初の首脳会議を開催。その後、南アフリカも加わり、定期的に首脳会議を開催して親睦を深めるようになった。そのため、国際社会では、BRICS加盟国と言えば成長力に富んだ国々というイメージがあり、グローバルサウスの国々にとって新規加入希望が生じやすい組織という以上の変容は起きにくいだろう。
一方、G20と言えば、まず、1990年台後半のアジア通貨危機をきっかけにして、1999年に、主要7カ国(G7)財務大臣会議が創設を決めた「G20財務大臣・中央銀行総裁会議」が原点だ。その後、リーマン・ショックを受けて、もはやG7だけでは対応が困難として、2008年11月からG20の首脳会議(サミット)もほぼ定期的に開催されるようになった。実務追求型の集まりである。
そのG20の閣僚レベルの会合では、ロシアのウクライナ侵攻以来、共同宣言の取りまとめができない異常状況が続いていた。西側諸国がロシアを厳しく批判しようとしたのに対し、ロシアと中国が反発して、両陣営が激しく対立。それ以外の国々、つまり、多くのグローバルサウスの国々は、どちらの陣営にも与しない姿勢を決め込んだからだ。 
このため、今回、インドのニューデリーで開催されたG20首脳会議でも首脳宣言の取りまとめは困難とみられていた。
ところが、懸念に反し、議長をつとめたインドのモディ首相は首脳宣言をG20首脳会議の会期の初日に採択することに成功した。内容は満点には程遠いが、それでもBRICSに比べればフォーマルなG20の首脳会議で指導力の高さを見せつけたのだ。
存在感を示したモディ首相
首脳宣言の内容がお粗末だと言う批判はある。というのは、ウクライナ情勢について「すべての国は領土獲得を目的とした武力による威嚇や使用は慎まなければならない」「核兵器の使用や威嚇は許されない」などと明記したり、食料やエネルギーの安全保障に負の影響を与えていることは指摘したりしたものの、ロシアを名指しする記述が抜け落ちたからである。
前回(2022年11月)に、インドネシアのバリ島で採択されたG20首脳宣言では、国連決議を引用する形だったものの、「ロシアによる侵攻」という文言が明記されたほか、「ほとんどの参加国は戦争を強く非難している」と明記できたのと比べると、今回の首脳宣言はトーンダウンの印象を免れなかった。
それゆえ、場外のことではあるが、ウクライナ外務省のニコレンコ報道官がネット上で「G20は誇れるものはない」と発信、強い不満を示すなど批判の声も上がった。
しかし、それ以外の部分では、気候変動問題に言及し、2030年を念頭に再生可能エネルギーの能力を世界全体で3倍にするよう努めるとの方針を書き込むことに成功した。米政府によると、こうした記述はG20首脳宣言としては初めての記述で、高く評価できるとされている。
また、グローバルサウスのリーダーとして、モディ首相が大きな得点をあげた部分もある。G20にアフリカ連合を正式メンバーとして加えることを議長国として提案し、合意を取り付けることに成功したからだ。
つまり、ウクライナ戦争以外の部分では、G20首脳宣言に評価できる部分があり、モディ首相はグローバルサウスのリーダーとして大きな存在感を示したと言えるのだ。
もう一つ、モディ首相にとって大きかったのは、このタイミングで、新たな経済圏構想IMECの覚書について、インドが米国、サウジアラビア、EUのほか、UAE、フランス、ドイツ、イタリアの合計8カ国で調印に漕ぎ付けたことも大きい。
中国の「一帯一路」構想と対抗していく狙いも透けて見えるが、メンバー国の発表によると、新回廊は既存の海上輸送ルートと道路輸送ルートを、鉄道の接続で補完することになる。これにより、インドから、湾岸諸国を経由して、ヨーロッパに至る商品やサービスの輸送の大動脈が誕生するというのだ。
加えて、鉄道ルートに並行して、電力や通信のケーブルやクリーン水素の輸出用パイプラインの敷設を計画している。物理的に、経済的な統合を進めて、雇用を創出するだけでなく、温室効果ガスの排出量を削減することにもつなげ、アジアとヨーロッパ、そして湾岸諸国の一体化感を醸成するという野心的な構想になっている。
散々な目に遭った李強首相
詳細については、今後速やかに、技術、設計、資金調達、法律、関連規制基準など、すべての要因を調整する機関を設立するとも発表している。
脱線するが、IMECの東の起点・終点がインドとなったのは、日本にとって残念なことだ。東南アジア諸国をまとめて、回廊を延長し、起点・終点を日本まで延ばしたいところである。
話を、グローバルサウスの盟主の座を巡るインドと中国の闘いに戻そう。インドのモディ首相が自身の晴れ舞台として存分に活用したG20首脳会議に、習近平国家主席は理由も明らかにせず、中国の国家主席として初めて欠席した。
しかも、代理出席した中国の李強首相は、散々な目に遭った。李強首相にとっては、G20首脳会議とそれに先立つ東南アジア諸国連合(ASEAN)の関連首脳会議とへの出席が、同氏の3月の首相就任後初の海外での国際会議デビューだったにもかかわらず、バイデン米大統領と立ち話をしたのを除くと、中国外務省が9月11日朝までに発表した個別会談の相手は、英、伊の両首相とミシェルEU大統領、フォンデアライエン欧州委員長の4人だけだった。これは、習主席が2022年11月のインドネシア開催のG20首脳会議の際に10人を超える各国の首脳たちと会談したのと比べて半分にも満たない。
しかも、英、伊の両首相との会談は、決して前向きと言えるような会談でなかったことも重要だ。
スナク英首相は李強首相との会談で、中国のためにスパイ活動容疑で英国人2人が逮捕された問題について、英国の議会制民主主義に対する中国の干渉だとの懸念を伝えたと明らかにしている。
メローニ伊首相も李強首相との会談で、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」から離脱する意向を伝えたとのことである。
折から、中国は人口でインドに抜かれたばかりだ。中国経済も不動産開発デベロッパーの巨額債務問題に端を発した金融不安や成長の鈍化懸念が深刻化。国力を大きく損ねかねない曲がり角を迎えている。
習近平国家主席が欠席した今回のG20首脳会議は、経済大国として米国と激しく対立してきた中国に代わって、西側とグローバルサウスの国々を繋ぐタイプのグローバルサウスの盟主として、インドのモディ首相がその地位を固めた舞台として、将来の歴史家たちが位置透けることになる国際会議だったのかもしれない。