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安倍総理の志は死なない!!

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ 岸田首相は「政教分離に反する」と言われても仕方ない...

創価学会の池田大作名誉会長の死去を受けて、岸田文雄首相が自身のX(旧ツイッター)に追悼のメッセージを投稿しだが、末尾に「内閣総理大臣 岸田文雄」と書かれていたのに対し、政教分離に反するとの批判が出ている。


政教分離については、憲法20条1項「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない」と3項「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。」、89条「公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便宜若しくは維持のため、(中略)これを支出し、又はその利用に供してはならない。」とされている。


国が創価学会を推しているかのように振る舞うのは問題
要するに、国は宗教団体に特権を与えることを禁止、宗教団体が政治上の権力を行使することを禁止、国およびその機関が宗教的活動をすることを禁止している。
創価学会が公明党を支持しているのは、政教分離に反するものではない。しかし、国が創価学会を推しているかのように振る舞うのは問題なのだ。


こうした批判に対し、松野博一官房長官は2023年11月20日午前の記者会見で、「個人としての哀悼の意を示したものだ」と述べた。ただし、そうであれば、「内閣総理大臣」という肩書きは不味い。そこで、「内閣総理大臣」名義で宗教指導者への弔意のメッセージを出した例として、ベネディクト16世名誉教皇の逝去(昨年12月)の例を持ちだした。


岸田首相は連立パートナーである公明党へ配慮したのだろう
しかし、ベネディクト16世名誉教皇の場合、中国や北朝鮮を除く世界のほとんどの国の首脳が弔意を寄せている。もちろん、世界の多くの国では政教分離の原則があるにもかかわらずだ。その中で日本だけが弔意を示さなかったら、外交上問題になっただろう。つまり、ベネディクト16世名誉教皇は前例とならない。池田氏に対し世界各国の指導者から弔意が来ているのであれば、岸田首相も弔意を示すのは理解できるが、世界の指導者からの弔意はまだ明かされていないようだ。


Xでは「内閣総理大臣 岸田文雄」としたものの、不味いと思ったのか、岸田首相が創価学会本部別館を弔問したときには「自民党総裁」としている。岸田首相は連立パートナーである公明党へ配慮したのだろう。まさに政教分離に反すると言われても仕方ないだろう。


++ 高橋洋一プロフィール


高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣官房参与、元内閣参事官、現「政策工房」会長


1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。20年から内閣官房参与(経済・財政政策担当)。21年に辞職。著書に「さらば財務省!」(講談社)、「国民はこうして騙される」(徳間書店)、「マスコミと官僚の『無知』と『悪意』」(産経新聞出版)など。