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静岡工区問題、JR東海〝反転攻勢〟の1年 川勝平太知事の「反リニア」発言も後押し


令和5年はリニア中央新幹線静岡工区問題を巡り、着工反対を貫く川勝平太知事に対するJR東海の〝反転攻勢〟が目立った1年となった。長年の主要論点である大井川の水資源問題に関し、解決策とされるダムの取水抑制案をついに県など地元側が容認した。流域市町が消極的な県と距離を置き始めたことも背景の一つだ。だが、風向きが変わった最大の理由は、いつになく川勝氏の「反リニア」的な発言に注目が集まったことにある。


「開通できる状況になった部分から開通させることが解決策となる」
今年も終わりに近づいた12日の静岡県議会。川勝氏が静岡工区問題の〝解決策〟として、同工区を後回しとする部分開業案をぶち上げた。


10月に「(自身が)JR東海の意思決定者であれば、解決策を出せる自信はある」と発言していたため、その真意を問われての発言だった。


部分開業案は過去にも主張したことがあり、JR東海は「非現実的」と一貫して否定。長らく副知事として工区問題で川勝氏のブレーンを務めた難波喬司静岡市長も「赤字が出るだけ。ありえない」と批判した。


川勝氏は再び部分開業を提案した理由を「社長が代わったので(同社の考えが)変わる可能性がある」などと説明。今年最後の今月26日の定例記者会見になると、「JR東海の事業計画に『山梨実験線の延伸・完成から間断なく品川-名古屋間の完成』と書いている」と独自の見解で〝補強〟した。同氏の迷走を象徴する一連の発言だった。



見えてきた対策の道筋


工区問題を巡り大きな進展がなかった昨年、トンネル工事が大井川の流量や南アルプスの生態系などに影響が及ぶことを懸念する川勝氏は年末最後の会見で「リニアは存亡の危機にある」と言ってはばからなかった。


ただ、今年4月にJR東海社長に丹羽俊介氏が就任した後、水力発電のために大井川から取水している水量を減らし、川に還元する取水抑制案について、ダムの水利権を持つ東京電力側との協議が進展。12月には基本合意書が締結された。


その間、県が設置した専門部会の有識者が同案を容認したことに加え、流域市町が理解を示して後ろ向きな姿勢の県に働きかけたことも大きい。


調整役の国交省は10月にリニア開業により、東海道新幹線の静岡県内駅への停車回数を約1・5倍に増やせるとの予測結果を発表。さらに生態系などへの影響を検討する有識者会議で報告書がまとめられ、令和3年末にまとまった水資源問題の中間報告とともに環境対策の道筋が見えてきた。


首かしげる発言だらけ


事態の進展に加え、川勝氏の言動を扱う報道も増え、工区問題への関心が高まった。それだけ妥当性に疑問符が付く発言が目立つ一年だった。


工事残土置き場の選定や安全対策の検討に当たり、想定すべき降雨のレベルについて、JR東海の「100年に一回」を不十分とし、「1千年に一回の規模で考えるべきだ」と述べた。


また、静岡県側にあった地下水が山梨県側に流れて湧き出る恐れがあるとし、同県内でのボーリング調査中止を要請。流動的な地下水を「静岡の水」と所有権を主張する異例の発言に、反発や困惑の声が上がった。


取水抑制案を容認する際も、水質の問題など持論を語り、「流量の話だけして全て解決するというのは間違いだ」と最後まで抵抗していた。


〝外堀〟は埋まりつつあるが、国の有識者会議の報告書を巡り、県の専門部会に議論の場を移して「(課題点を)一つ一つ潰していくのが令和6年の仕事」と長期化を示唆する発言もしている。


政府関係者は「県外から見ても川勝知事の孤立が進み、(反発が多い)部分開業案などの〝オウンゴール〟発言で状況に拍車がかかっている。この1年で潮目が変わりつつある」と話している。


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