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安倍総理の志は死なない!!

誤った対中認識に基づき天皇ご訪中推進 外務省、平成4年外交文書で明らかに


外務省が20日に公開した平成4年の外交文書で、当時の外務省が中国に対する甘い認識や見通しを持っていたことが明らかになった。同年10月の天皇、皇后両陛下(現上皇ご夫妻)のご訪中も、結果的には誤った対中認識に基づいて進められたといえる。


「今後長期的に展望すれば、中国社会は必然的に民主化・自由化の方向をたどらざるを得ない。その際、(中略)予測は困難であるが、いずれにせよ多少の混乱は不可避であろう。今後の1年ないし2年はその前夜の小康状態と言えよう。従って、天皇御訪中のタイミングとして明年を選ぶことは賢明な選択である」


3年11月28日、橋本恕(ひろし)駐中国大使(当時、以下同)は、渡辺美智雄外相に宛てた公電でこうした考えを示した。


だが、それから32年が経過したが、中国は民主化していないどころか、習近平政権下でむしろ閉鎖的、全体主義的になっている。


また、外務省が作成した3年12月18日付の対宮内庁説明用資料は天皇陛下のご訪中について「隣国たる中国との関係において積極的に対応すべきものであり、不幸な過去を清算し、日中関係を21世紀に向けて新たな段階に発展させる上で大きな意義を有する」と説明していた。小和田恒外務事務次官も4年3月、アマコスト駐日米大使に「過去の清算は、現天皇の訪中によって初めて可能になる」との認識を示した。


だが、4年4月に公賓として来日し、天皇陛下のご訪中を招請した江沢民中国共産党総書記は国家主席となった後、6年から反日的な愛国主義教育を開始。10年に国賓として再び来日した際には、宮中晩餐(ばんさん)会で歴史問題に言及し、顰蹙(ひんしゅく)を買った。外務省が期待したように不幸な過去は清算されなかった。


4年7月には中国課が天皇陛下ご訪中の意義と反対論に対する応答のポイントを作成。「中国は天皇訪中によって日本からより一層の経済協力を引き出さんとしている」との意見への回答として、「わが国が陛下訪中と経済協力を結びつけることはありえず。中国側にもこのような期待は一切ない」としていた。


政府が8月25日にご訪中を閣議決定するのに際し、当時の中国課長が24日に記者向けに行った事前ブリーフィングでは「中国も陛下の御訪中を政治利用しないことを明確にしている」と説明した。


しかし、中国の外相として日本側との折衝に当たった銭其琛氏は天皇陛下のご訪中について、後に回顧録で「西側の対中制裁を打破するうえで、積極的な作用を発揮した」と政治利用の成果を指摘した。(原川貴郎)