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安倍総理の志は死なない!!

「トランプ大復活」で習近平が「風前の灯」…!中国で相次ぐ「EV墓場」と、「ヒト・モノ・カネ」が動かない中国経済「ヤバすぎる元凶」

中国で「EV墓場」が相次ぐワケ
中国の李強首相は1月16日、世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)で講演し、「中国経済はビジネスに開かれている」と述べ、「中国市場への投資を選択することはリスクではなく、チャンスである」と強調した。


李氏は「大規模な景気刺激策を頼らずに政府の成長目標(5%前後)が達成できた」と胸を張ったが、海外で広がる中国経済に対する悲観的な見方が払拭できたとは思えない。何より心配なのは中国経済のデフレ化だ。


前編『「トランプ大復活」で「中国包囲網」強化へ…!アメリカの保護主義政策が追い詰める、中国EV「悲惨な状況」』で紹介したとおり、中国製電気自動車(EV)へのアメリカの警戒感が高まり、大統領選に向けて「中国への経済制裁」の議論が再燃しかねない状態だ。
ふり返れば、中国を敵視して25%もの関税を課したのは、トランプ前政権だった。またもや、アメリカで中国製品に対する包囲網が強化されようとしている。再び「EV墓場」がいたるところに出現しかねず、低迷する中国経済をますます苦しめることになりかねない。


世界経済のお荷物
中国経済の状態は内需不足だ。昨年12月の消費者物価指数(CPI)は前年に比べて0.3%下落し、3ヵ月連続のマイナスとなったが、「低体温化」と言われる経済実態が鮮明になっている形だ。


その元凶が、中国経済の3割を占めるという不動産関連産業の低迷であることは言うまでもない。


中国のシャドーバンキング(影の銀行)大手の中植企業集団が5日に破産申請を行った(負債総額は643億ドル)ことも、頭が痛い問題だ。中植の債権者の大半が金融機関ではなく富裕資産家であるため、金融システムを揺るがす事態には発展しないとされているが、約3兆ドル規模のシャドーバンキングの混乱は、不動産市場への資金の流れを一段と細らせることになるだろう。


中国人民銀行はデフレ阻止に躍起になっているが、カネが製造業に流れ、肝心の消費に向かわないため、「供給過剰をかえって助長させる」というジレンマに陥っている。


これを是正するためには構造改革が不可欠だが、「言うは易し、行うは難し」だ。残念ながら、現下の中国経済は「リスクだらけ」と言わざるを得ない。


中国は「世界経済の牽引役」から「お荷物」になった感が強いが、気になるのは中国と欧米諸国との間でヒト、モノ、カネの流れが縮小していることだ。


根づまりをおこす「モノとカネ」
まず最初にモノの流れについて見てみたい。


米商務省の貿易統計によれば、昨年1~11月の米国の対中輸入額は前年に比べて20%以上減少し、年間ベースでメキシコに抜かれることが確実視されている。輸入全体に占める中国のシェアは13.9%となり、ピークだった2017年の21%超と比べるとその減退ぶりは明らかだ。


米中の貿易量は2001年の中国の世界貿易機関(WTO)加盟後に急増した。だが、近年の米中対立がサプライチェーン(供給網)に大きな変化をもたらし、貿易拡大の動きが逆回転し始めているのだ。


カネの流れの変化はさらに顕著だ。


英フィナンシャルタイムズの推計によれば、海外勢による昨年の中国株の累積投資額は8月に2350億元(約4兆8000億円)でピークに達した後、年末にかけて87%も減少し、わずか307億元となった。


世界の工場である中国への海外投資も昨年、前年比8%減の1571億ドルだった。海外の投資家・企業が世界第2位の経済大国の先行きを悲観していることの表れだ。中国政府による特定の業界への締め付けも悪材料となっており、米ウォール街は「中国リスク」の圧縮に急いでいる(1月9日付ブルームバーグ)。


カネの流れが減少している背景には、中国の人口動態の変化もある。


中国の総人口は、2022年、約60年ぶりに減少に転じた。昨年の総人口も208万人減少し、2年連続のマイナスとなった。


2008年に人口減少が始まった日本経済は「市場のパイが小さくなる国に投資機会はない」と揶揄されてきたが、中国もこのような扱いを受けるのは時間の問題だろう。


天に唾する「反スパイ法」
最後にヒトの流れだが、中国文化観光省によれば、昨年上期の外国人旅行者は約48万人となり、コロナ禍前の2019年に比べ18分の1の水準に落ち込んだ。反スパイ法の改正などの影響でビジネス目的の入国者が激減している。


この事態に焦った中国政府は昨年末から欧米諸国向けのビザ発給手続きを簡素化したが、ヒトの流れを元に戻すのは難しいと言わざるを得ない。


筆者は「ヒト、モノ、カネの流れの縮小が地政学リスクを高める」と危惧している。


第1次世界大戦前の英国とドイツの経済依存は現在の米中の水準を超えていたが、お互いを「安全保障上の脅威」と認識するようになったために経済依存が低下し、軍事衝突という悲劇的な結果を招いたとする歴史の教訓がある。


「不幸な歴史」を繰り返してはならない
「日米間の軍事衝突は、1930年代前半にウオール街が『安全弁』としての役割を放棄したことが関係している」との指摘もある。


「歴史を繰り返す」と断言するつもりはないが、経済依存の低下が仇となり、中国と欧米諸国の間の対立はさらに進んでしまうのではないだろうか。


さらに連載記事『習近平の大誤算…!現実味を帯びはじめた「新型コロナ“武漢研究所“流出説」で、トランプが公言する中国への「巨額賠償」、その悲惨な中身』では、さらに米中の深刻な対立の背景について見ていこう。