Shinzo-Returns

安倍総理の志は死なない!!

“小出し対応”のまま決断せず、第三波を招いた小池百合子・東京都知事の「職務怠慢」

会見を行う小池百合子・東京都知事。都合の悪い質問をする記者を指名しない”記者排除”を続けている
小池都知事に、GoToトラベル中断が遅れたことの反省はなし
 1都3県を対象とする緊急事態宣言が発令された1月7日、小池百合子都知事は臨時会見を開いて「状況は危機的で極めて深刻」と強調、飲食店への時短要請(20時まで)と協力金の支払を発表し、最大限の外出自粛を求めた。「対策のいちばんの目的は、人の流れを止めること」と述べて、都民や企業や事業者に協力を求めたのだ。
 しかし菅首相との責任のなすりつけ合いで、医療関係者が昨年11月の段階で求めていた「GoToトラベル中断」が遅れたことへの反省も謝罪もそこにはなかった。しかも小池知事が会見で指名した記者たちからは、そのことを厳しく問い質す質疑応答もなし。そこで会見終了直後、筆者は3年間にわたって指名されない“記者排除”への抗議も兼ねて、声掛け質問をした。
「菅さんとの不仲が問題だったのではないですか。(菅首相との)責任のなすりつけ合いについて、謝罪しないのですか。GoTo(トラベル)キャンペーンは、なぜ早く中断要請しなかったのですか。五輪を中止してコロナ対策に(予算を)回したほうがいいのではないですか。開催できる根拠があるのですか?」
 小池知事は、無言のまま立ち去った。
尾身茂・コロナ対策分科会長も言葉を失った「決断力のなさ」
 小池知事と菅首相が対応の遅れで感染爆発を招いた“亡国コンビ”であることは、昨年末の筆者記事(「小池都知事と菅首相は、私利私欲でコロナ感染拡大を招いた“亡国コンビ”」「これではコロナ第三波は止められない!? 菅首相と小池都知事の機能不全状態」)で指摘したが、その象徴的場面だったのが昨年12月1日の両トップ会談だった。
 政府のコロナ対策分科会の尾身茂会長も、「GoToトラベル中断」の決断に時間を要した理由の一つに「国と東京都の『両すくみ』に陥ったこと」をあげ、言葉を失った瞬間を次のように振り返っている。
「菅首相は当初から『まずは知事に判断していだく』と言い、小池知事は『国が判断を』と言う」「大きな注目が集まった12月1日のトップ会談では、私たち専門家はみな強いメッセージが出ることを期待していました。二人の会談の直後に『65歳以上の高齢者と基礎疾患のある人に利用自粛を呼びかける』という合意がなされたと聞いた時は、『え?』と言葉を失いました。私たちの具申をわかってくれていなかったのか、と強い違和感があった」(『文藝春秋』2月号「尾身茂『東京を抑えなければ感染は終わらない』」より)
知事方針決定に関する「文書は不存在」
「GoToトラベル停止(中断)」を求めていた医療関係者は尾身会長だけではない。東京都医師会の尾崎治夫会長も昨年11月20日の会見で、10月1日の東京除外解除が第三波感染拡大の引き金になった可能性を指摘したうえで、即時中断を訴えていたのだ。
 今年1月2日になってやっと、小池知事は神奈川・埼玉・千葉の3県知事と共に緊急事態宣言の要請を行った。1か月以上前の11月下旬に「GoToトラベル中断」を政府に迫っていれば、現在のような感染爆発は回避できた可能性が高いのではないだろうか。
 なぜ小池知事は早い段階で「GoToトラベル中断(東京都の除外)」を菅首相に求めなかったのか。そして「高齢者と持病のある人の自粛」という小出しの対策だけで合意してしまったのか。知事方針決定に関する文書(専門家からのヒアリングや議論や都担当者との会議など)の開示請求を11月27日と12月11日にしたが、いずれも「対象文書は不存在」という回答だった。
 また「小池知事と菅首相の面談記録」の開示請求もしたが、こちらも文書不存在で両トップがどんな意見交換をして合意をしたのかについては、まったくつかむことができなかった。
 驚くべきことに小池知事は、GoToトラベルに関する方針決定過程を文書に残さないまま、医療関係者の“直訴”を聞き流し続け、菅首相と責任をなすりつけ合う“政争”に明け暮れていたのだ。
 そして知事は、筆者の声掛け質問に対しては一言も答えない対応をずっと繰り返してきた。昨年11月20日以降、指名されなかった筆者が退出する小池知事に質問を浴びせ、都職員がマイクで「会見は終了しました」と大声で被せてくるという都知事会見の“風物詩” (筆者の著書『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』の冒頭で紹介)が続いたのはこのためだ。
東京都医師会・尾崎会長による「GoToトラベル一時中断」の訴えも小池知事は無視
 東京都医師会の尾崎会長が緊急会見を開いて「GoToトラベル」の一時中断を訴えた11月20日、この日も指名されなかった筆者は小池知事の会見終了後にこう叫んだ。
「菅さんにGoToキャンペーン中断を、申し入れないのですか。(9月30日までの)東京除外している時より感染者数が、増えているではないですか。見て見ぬふりをするのですか? (菅さんが官房長官から)総理大臣になったから物を言わなくなったのですか。言いなりですか?」
 しかし、小池知事はこの日も無言で立ち去った。さらに、菅首相との会談をした11月24日の翌25日に行われた臨時会見でも、小池知事が「GoToトラベル中断」を申し入れなかったことを受けて、こう声掛け質問をした。
「GoToトラベル、国に丸投げは無責任、職務怠慢では?」の問いに
 さらに、東京都よりも先に大阪市と札幌市のGoToトラベル除外が決まった3日後の11月27日にも、「菅さんが嫌いだからGoTo中断を言わないのですか。(全国に)感染拡大をさせていいのですか? 無責任ではないですか」と、同じ内容の声掛けを繰り返した(この3回の声掛け質問についても、筆者記事「小池都知事と菅首相は、私利私欲でコロナ感染拡大を招いた“亡国コンビ”」で紹介)。
 しかし、小池知事は無言を貫いたままだった。コロナ対策分科会や東京都医師会の医師たちの訴えは、ずっと軽視されていたのだ。
菅首相と二度の会談をしても、出てきたのは“小出し対応”だけ
 12月に入っても医療関係者の訴えを軽視する姿勢は同じだった。小池知事が12月1日に菅首相との二度目のトップ会談をした3日後の12月4日、尾身会長の疑問をぶつけてみた。
「(GoToは)高齢者自粛だけでは不十分ではないでしょうか。専門家・医療関係者が批判しているではないですか。菅総理と仲直りをして、この程度の対策しか出せないのですか? 不仲説解消の記事は本当ですか? (菅首相と小池知事の)ホットラインは本当にあるのですか。菅首相と何を話したのですか?」
 ここで“不仲説”について触れたのは、「『総理との関係はいい』『GoTo東京』急転直下の裏には菅・小池両トップの『ホットライン』」(昨年12月2日のFNNプライムオンライン)と銘打った記事が出ていたからだ。
 しかし両トップの関係が良好だったとしても、出てきたのは先の尾身会長が言葉を失った、高齢者と持病のある人にだけをGoToトラベルから除外するという“小出し対応”だった。
小池知事の「職務怠慢」はずっと続いていた
 12月11日の定例会見でも、筆者はこのことについて小池知事に声掛け質問をぶつけた。
「GoToトラベル、なぜ東京の全世代を除外しないのですか? 菅総理と談合決着をしたのですか? (東京都医師会の)尾崎会長は『不十分、残念』と言っています。知事一人で決めているのですか? ブラックボックスではないですか」
 筆者は小池知事に聞こえるよう大声で質問したが、この日も無言のまま小池知事は立ち去った(12月4日・11日の声掛け質問については、筆者記事「これではコロナ第三波は止められない!? 菅首相と小池都知事の機能不全状態」で紹介)。同記事で、「迅速かつ大胆な対策を即断即決しない菅政権(首相)の職務怠慢」「無意味かつ煮え切らない決断」と批判したのはこのためだ。
 12月18日の定例会見でも、筆者は小池知事に声を掛け続けた。
「知事、“カルタ遊び”でコロナに勝てるのですか? GoTo中断を、なぜ菅総理にすぐ言わなかったのでしょうか。知事の怠慢で第三波を招いたのではないですか?」
 この日も無言のまま立ち去った。
 さらに、年内最後の定例会見の12月25日にも「GoToトラベル東京発の中止、中断要請をしないのですか? 知事の怠慢ではないですか。最大限の努力をしていないでしょう」と叫んだ後、「来年は指してくださいよ」と締めた。
新年になっても小池知事の“記者排除”は変わらず
 そして冒頭に書いたように、年が明けた2021年1月7日の臨時会見でも、筆者は完全無視の対応を受けることになる。翌1月8日、年明け初の定例会見でも指名されなかった。
「菅さんとの対立が感染拡大の原因ではないのですか? 反省・謝罪はないのですか? 五輪中止をしてコロナに(予算を)回さないのでしょうか」
 新年になっても、都合の悪い質問をする記者は徹底的に無視をするという小池知事の対応はまったく変わらず、一言も発しないまま会見場を後にした。
 尾崎会長が“直訴”した昨年11月20日から現在(1月18日)まで、10回にわたって都知事会見で手を挙げ続けても筆者は一度も指名されず、会見終了後の声掛け質問を繰り返していった。その中で、東京都は過去最高の感染者数を何度も更新してしまった。
自らの責任を棚に上げ、菅首相に批判の矛先を向ける狡猾さ
 結局、GoToトラベルが東京着発を含めて停止となったのは昨年末のこと。尾崎会長の“直訴”から1か月以上も経った遅すぎる決定が、感染爆発の主因だったといえるのだ。
 しかし今回も小池知事は、緊急事態宣言再発令の直前になって3県知事と一緒に政府に要請、自らの職務怠慢を棚に上げて責任転嫁をするという「やっている感」演出に精を出した。
「感染爆発を招いた“亡国コンビ”」と、菅首相とともに責任追及をされても当然なのに、首相だけに批判の矛先が向かうように仕掛けたのだ。小池知事は狡猾なメディアコントロールの天才ぶりを再び発揮したといえる。
 第一波の時も、途中まで安倍首相(当時)と一緒に楽観的見通しを語っていたのに、五輪延期が決まったとたん、突然「ロックダウン」など強い言葉を連発して感染抑制の先頭に立っている演出をしたが(『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』参照)、第三波でも小池知事は同じ手法を駆使したのだ。
 医療関係者の訴えに耳を傾けなかった“怠慢コンビ”の菅首相と小池知事が今後、真っ当なコロナ対応をするようになるのか否かが注目される。
<文・写真/横田一>
【横田一】
ジャーナリスト。8月7日に新刊『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』(扶桑社)を刊行。他に、小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)の編集協力、『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数