Shinzo-Returns

安倍総理の志は死なない!!

保健所視察は千代田区長選のための「選挙対策」!? 「五輪ファースト」で動き始めた小池都知事の“野望”

あ、画像間違えたw


「コロナよりも五輪」の姿勢で一致する菅首相と小池知事


「五輪やGoToキャンペーンを優先してコロナ対策が遅れ、感染爆発を招いた」と批判されている菅義偉首相と小池百合子都知事が、さらなる第四波を招きかねない五輪開催を強行しようとしている。「コロナウイルスに打ち勝った五輪を開催」とアピールして、総選挙圧勝を目論む狙いが透けて見えるのだ。


 菅首相は1月27日の参院予算委員会でも、立民の石橋通宏参院議員に「世論調査で開催反対が多いのに強行するのか」と質問され、「安心・安全な大会を開催するため、具体的方法を検討している」「国際オリンピック委員会(IOC)と東京都、組織委員会と連携して準備を進める」と意気込み、中止や延期の可能性に触れることはなかった。


 官邸側の選挙プランナーである三浦博史氏は「(五輪開催の場合)五輪史上、初めてパンデミックに打ち勝った祭典となる。国内は沸き立ち、自民は単独で3分の2以上を獲得する可能性大です」(1月18日付『毎日新聞』夕刊)と語っていたが、この“三浦プラン”が菅首相の耳に入っているのは確実。1月18日の施政方針演説でも五輪開催を「コロナウイルスに打ち勝った証」と位置づけたのはこのためだろう。「自分(選挙)ファースト・国民二の次」の姿勢は明らかなのだ。


 菅首相との不仲説が流れる小池知事も、五輪開催ありきの立場では瓜二つ。1月22日の都知事会見で小池知事は、「日本政府が非公式ながら中止せざるを得ないと結論づけた」というイギリスの『タイムス』紙の報道について「いっさい聞いていない」「抗議を出すべきではないだろうか」と訴えながら「中止や延期の話は出てきていない」と強調した。


「都民の命よりも、五輪ファーストなのですか」との問いかけを小池知事は無視


 しかし、五輪を開催すればさらなる感染拡大を招くリスクがある。今でも危機的状況にある医療現場が崩壊し、救える命が救えなくなる事態も想定される。


 そこで会見終了直後、この日も質問者として指されなかった筆者は、退出する小池知事に向かって「五輪開催で変異種(感染拡大)のリスクがあるのではないですか。『都民の命二の次』で『五輪ファースト』なのですか?」と大声を張り上げたが、小池知事は一言も発することなく立ち去った。


 この日は「千代田区長選(1月24日告示・31日投開票)」へのテコ入れ(選挙対策)も兼ねた千代田区保健所視察が17時から予定されていたので、こちらも取材。保健所長らとの意見交換後の囲み取材で、「五輪開催で(千代田区保健所などの医療保険機関の)負担増をさらに強いることについてはどう思うのですか」と、都知事会見の場と同じ意味合いの質問をした。


 小池知事は筆者の質問にはまったく答えずに、別の記者を指名して質問を促した。そこで、その質疑応答が終わった瞬間、「五輪で(医療保険機関の)負担増になることについてはどう考えるのですか。菅さんとの責任のなすりつけ合いで感染爆発を招いた責任は謝罪しないのですか?」と再び質問をした。すると小池知事は「囲み取材の終了」を宣言、都職員が「取材は以上で終了です」などと大声で叫んで筆者の質問に被せてきた。そして小池知事は、ここでも無言のまま4階の面談会場から立ち去った。


 囲み取材での質問が連続で無視された筆者は、階段を駆け下りて出口付近で職員に行く手を阻まれながら「知事、五輪について一言お願いします。(医療保健機関の)負担増を招くのではないでしょうか?」と3度目の声掛け質問をしたが、小池知事は一言も発することなく保健所を後にした。


千代田区保健所視察は、直系候補応援のための「税金を使った選挙対策」


 なお囲み取材では、「都民ファーストの会」都議から千代田区長選に立候補した樋口たかあき候補が小池知事の隣に立っていた。樋口候補はネット上で小池知事と並んだ写真を掲載、都とのパイプの太さを強調していた。この視察は知事直系候補へのテコ入れを兼ねた「行政視察」となっていて、「税金を使った選挙対策」と批判されても仕方がない。


 この日の「行政視察」は、江東区保健所と中央区保健所と千代田区保健所が対象だったが、取材可能だったのは3か所目の千代田保健所のみ。そこに、小池知事が衆議院時代にインターンを経験した愛弟子の樋口候補が駆けつけるという“舞台設定”になっていたのだ。


 現場では、“小池劇場”が再び開幕したという雰囲気を醸し出していた。2017年の千代田区長選でも、小池知事が支援した区長がトリプルスコアで圧勝、同年夏の都議選で自民党を惨敗に追い込む前哨戦となった。そんな千代田区長選で「是が非でも2連勝して都議選につなげる」という小池知事の狙いが透けて見えてくる。


 千代田保健所での意見交換で小池知事は、菅首相との責任なすりつけ合いをしている間に第三波感染拡大を招いたことにも、第四波感染拡大につながる恐れのある五輪開催についてもまったく触れなかった。自らの職務怠慢を棚に上げて「コロナ対策で奮闘する都知事」と印象づける広報宣伝工作といえる。「自分(選挙)ファースト」に徹しているようにしか見えない。


小池知事の胸中にある「国政復帰、初の女性首相」への野望


 筆者の著書『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』では、小池知事の最終目標が総理大臣で、国政転身の機会を狙っているのは確実だと指摘した。政治評論家の伊藤達美氏も「小池百合子都知事 貫禄十分に奮闘中 恐るべき老獪さ」と銘打った1月14日の『夕刊フジ』で、ポスト菅の最有力候補となる可能性について次のように述べている。


「新型コロナが収束に向かい、東京五輪・パラリンピック開催が実現すれば、小池氏の存在感はさらに高まることになるだろう。そうなれば、『わが国初の女性首相』の可能性すら出てくる」


「小池氏の胸中には『国政復帰の野望』が再び点火する可能性もあるのではないか。そうなれば『ポスト菅』の最有力候補に浮上するかもしれない」


 不仲説が流れる菅首相と小池知事が「五輪ファースト」の姿勢で一致するのは、両トップにとって五輪開催が政治的にプラスであるためではないだろうか。さらなる感染拡大のリスクを無視して五輪開催に突き進む動機は、菅首相も小池知事も十分に有している。


 第三波の感染爆発を招いた“亡国コンビ”が五輪開催で再び暴走するのか否か。今後の両者の言動に対しては最大限の注意を払う必要がある。


<文・写真/横田一>


【横田一】


ジャーナリスト。8月7日に新刊『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』(扶桑社)を刊行。他に、小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)の編集協力、『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数