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安倍総理の志は死なない!!

【社説検証】日米首脳会談 「米中に自制求めよ」と朝日 産経「日本は防衛力充実を」

 ■日米首脳会談をめぐる主な社説
 【産経】
 ・「台湾」明記の意義は重い/同盟の抑止力高める行動を
 【朝日】
 ・対中、主体的な戦略を
 【毎日】
 ・問われる日本の対中戦略
 【読売】
 ・強固な同盟で平和と繁栄導け/対中戦略すり合わせ責任共有を
 【日経】
 ・日米同盟の深化で安定と発展を
 【東京】
 ・米中との間合いを測れ(いずれも18日付)

 バイデン米大統領が就任した後、初めて外国首脳との対面会談となった菅義偉首相との日米首脳会談は、安全保障や世界経済、気候変動、そして新型コロナウイルスの感染拡大に伴う対応など幅広い議題を話し合った。
 日米両国は共同声明で、台湾海峡の平和と安定が重要だとして、海洋進出を強める中国に共同で対処する方針を盛り込んだ。バイデン政権がトランプ前大統領による米国優先の取引外交を改め、日本との同盟を重視する姿勢を見せたことは歓迎したい。
 問題は日本自身の外交姿勢である。香港に対する政治圧力やウイグルの人権問題をめぐり、西側諸国は中国に対して制裁を科したが、日本は先進7カ国(G7)の中で唯一、対中制裁を科していない。日本の対中外交の覚悟が問われているといえる。
 産経は「両首脳は、中国による東・南シナ海での力による現状変更や威圧的な行動に反対することで一致した」と指摘したうえで、「対中国を念頭に『抑止の重要性』を確認し、同盟の一層の強化を約した。極めて妥当である」と評価した。
 読売も「自由や民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値を共有する日米が結束して、国際社会からの信頼を高め、中国に覇権主義的な行動を改めるよう促していくことが重要だ」と訴えた。そして「日本は、米国と対中戦略を十分にすり合わせ、責任を共有する覚悟が必要となろう」と注文した。
 今回の共同声明では「台湾海峡の平和と安定の重要性」が盛り込まれた。
 これについて、朝日は「台湾有事が仮に現実となれば、日本は人ごとではいられない。安保法が定める『重要影響事態』として米軍への後方支援を求められる可能性が高い」と懸念を示した。そのうえで「日本が果たすべき役割は、米中双方に自制を求め、武力紛争を回避するための外交努力にほかならない」と強調した。
 毎日も「人権や法の支配、貿易ルールが大事だと訴えるのは重要だ。それは中国と共存するためであり、排除を目的とすべきではない」と論考した。そして「かつての太い人脈は細り、冷静な対話もままならないのが日中関係の現状だ。同盟強化だけでは打開できない」と日本独自の対中戦略を求めた。
 一方、産経は「地理的に台湾有事は直ちに日本有事に移行する恐れが大きい」としたうえで、「台湾有事への対処や、米国が中国に対して優位を失っているミサイルの配備問題も視野に、日本は防衛力を充実させたい」と防衛力強化の必要性を指摘した。
 日経も「米国からみれば尖閣と台湾は目と鼻の先であり、南シナ海まで含めたひと続きの問題だ。抑止力を高めるうえで、日本は応分の負担が避けて通れない」と論じたうえで、「首相は日本の防衛力を強化する考えを大統領に伝えた。日本がどこまでの役割を担うのか米国と入念に擦り合わせ、国民の理解を得ながら備えを固める必要がある」と求めた。
 読売も「台湾で軍事的な危機が生じれば、日本の平和に深刻な影響が及ぶことは避けられまい」との見方を示し、「台湾を威圧する中国に対し、日米が共同で警告を発したのは適切である」と強調した。そのうえで「あらゆる事態を想定し、日米であらかじめ役割分担を議論しておくことが不可欠だ」と訴えた。
 尖閣諸島周辺の日本領海には中国海警局の船舶が連日押し寄せ、対日圧力を強めている。台湾有事は日本にとって決して人ごとではないと認識しておくことが必要だ。(井伊重之)