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安倍総理の志は死なない!!

日台〝半導体連携〟で「台湾有事」に先手必勝 片山さつき氏が訪台「関係の重要性、未来の可能性を再認識」 中国製アプリの「バックドア」排除へ

中国が軍事的覇権拡大を進めるなか、日本と台湾の連携深化へ期待が高まっている。数年内に勃発しかねない「台湾有事」を見据えた、日米台による安全保障の関係強化に加えて、台湾の政財界からは先端技術の共有や供給網(サプライチェーン)の移転加速などを訴える声も上がっているという。半導体世界最大手「台湾積体電路製造(TSMC)」の工場が熊本県に誘致された動きは、日台関係強化の一端といえる。世界屈指の〝親日国〟であり、「自由」「民主主義」「人権」「法の支配」といった価値を共有する台湾との絆を重視すべきだ。

「われわれが思う以上に、台湾の緊張感は高まっている。日米同盟を軸とした安全保障の強化に加えて、経済関係を深めることは、台湾を守り、日本の国防にも資する」
自民党金融調査会会長である片山さつき参院議員はこう力説した。
7日に訪台した片山氏は、台湾ナンバー2の頼清徳副総統や、国会議長に当たる游錫堃立法院長、鄭文燦副行政院長(副首相)、王美花経済部長(経済産業相)など政財界の要人らと次々と面会し、金融市場の基盤強化や、半導体分野での協力について議論した。
片山氏は「日台関係の重要性、未来の可能性を再認識した」と語る。
中国は、台湾への野心をあらわにしている。
習近平総書記(国家主席)は「異例の3期目」に突入した昨年10月の共産党大会で、台湾統一について、「武力行使の放棄は絶対に約束しない」と明言した。党中央軍事委員会の人事も、台湾を担当する地域での経験を重視した「台湾シフト」が目立った。
米軍が撃墜した中国の「偵察気球(スパイ気球)」は、台湾では「ここ数年で数十回」(英フィナンシャル・タイムズ紙)飛来しているという。
一方、米国や日本は中国への警戒感を強めている。
ジョー・バイデン米大統領は昨年12月、台湾への防衛支援や米政府職員派遣を盛り込んだ、2023会計年度(22年10月~23年9月)の国防予算の大枠を決める国防権限法案に署名し、同法が成立した。
岸田文雄政権も同月、国家安全保障戦略など新たな「安保3文書」を閣議決定した。防衛費増額とともに、「反撃能力(敵基地攻撃能力)」の保有が明記された。防衛費増額は「日本有事」に直結する「台湾有事」への懸念が大きい。
片山氏は「安保強化は抑止力だ。日台の経済面の関係強化は、同様に有事のリスク抑制につながる。台湾側の期待は相当なものだ」「(具体的には)技術やインフラの共有、供給網移転、さらには人材交流だ」と語る。
台湾国内には最先端の半導体工場が多数存在している。中国は「台湾統一」を強行して、人的・物的資源を支配下に置こうとしている。台湾は中国大陸にも生産拠点を多数配置しているが、有事になれば中国側に〝接収〟される可能性が高い。
前出のTSMCは、米アリゾナ州や熊本県に半導体工場を建設している。生産拠点や供給網を移転してリスクを軽減する狙いもある。
片山氏は「台湾は、日本が弱点とするアプリケーション開発にも強みがある。国際社会では、中国製のアプリや製品には『バックドア』(裏口)が仕込まれているというのが定説だ。日台の技術共有は、バックドアの排除にもなる」と語る。
バックドアとは、コンピューターに不正侵入するための入り口のことで、プログラムや製品に仕込まれている。遠隔操作でデータを盗んだり、改竄(かいざん)・破壊するケースもあり得る。米当局は、中国が有事を想定して、無数のバックドアを仕掛けていると分析している。
米NBCは先月末、米空軍航空機動軍団司令官のマイク・ミニハン大将が「私が間違っていることを望んでいるが、私の直感は、われわれ(=米国と中国)が2025年に戦うと伝えている」と内部のメモで警戒感を示したと報じた。
■渡邉哲也氏「G7各国も中国をシビアに警戒」
「台湾有事」を見据えた日台の連携強化をどうみるか、課題は何か。
台湾から帰国したばかりの経済評論家の渡邉哲也氏は「台湾は、日米をはじめとするG7(先進7カ国)に積極外交を仕掛けている。ロシアのウクライナ侵攻を経て、G7各国も中国をよりシビアに警戒し、台湾を守る態度を示しつつある」といい、続けた。
「日台関係は、安倍晋三元首相と李登輝元総統といった、象徴的なキーパーソンによって維持されてきた。東日本大震災での支援や、新型コロナでのワクチン提供などで『心の交流』を続けてきた。台湾側は今、安倍氏亡き後を憂慮している。最近、自民党の萩生田光一政調会長や、世耕弘成参院幹事長らが相次いで訪台した。今後は政治・経済を含めた『面の関係』を築いていくべきだ」