Shinzo-Returns

安倍総理の志は死なない!!

なぜ急ぐLGBT法案、右も左も〝総スカン〟強行提出の愚 中立的だった読売新聞が慎重派に 賛成派の朝日新聞は修正案を批判

LGBTなど性的少数者への理解増進法案について、自民党は党内に「女性の権利が侵害される」「子供へのLGBT教育はやり過ぎ」などの反対・慎重論があるにもかかわらず、19日から広島で開催されるG7(先進7カ国)首脳会議前の国会提出の方針を変えていない。
党本部で12日に開かれた性的マイノリティに関する特命委員会などの合同会議では、反対意見が多く出たにもかかわらず最後は強引に「部会長一任」となってしまい、岸田文雄首相の強い意志を感じた。
しかし、翌13日の新聞各紙は意外な反応だった。
まず「慎重派」は、わが夕刊フジと産経新聞がこれまで「孤軍奮闘」していたのだが、中立的だった読売新聞が社説で「LGBT法案。拙速な議論は理解を遠ざける」と書き、慎重派に加わった。逆に、賛成派の朝日新聞は「LGBT法案。自民骨抜き」との見出しを掲げ、修正案を批判した。
つまり、右も左も怒っている。
加えて、国民の意見にも変化がみられた。2月に行ったFNN・産経新聞の世論調査では、法案を「成立させるべき」は64%で、自民党支持層に限っても57%に上っていたのだが、13、14日に行われたテレビ朝日系ANNの調査では、広島サミット前の成立について、「必要はない」が52%と、「必要」の25%を大きく上回った。「あわてるな」という世論ではないか。
筆者は、LGBT法案をつくることに決して反対ではないが、公共の場で女性や子供が傷つくことのないよう、立法と行政には細心の注意を払ってほしい。それをG7前に駐日米国大使らの「ガイアツ」に屈し、雑な法案を提出して成立を急ぐというのは、一体どういう了見なのか。
最近、「保守層の自民党離れ」が深刻だ。
安倍晋三元首相が一昨年の総裁選で高市早苗氏を推したのも、比較的リベラルな岸田氏や河野太郎氏に対抗して、「政策論争の軸をセンターに戻そう」という強い意志の表れだった。
岸田政権は、安保、エネルギーなど基幹政策は保守的なのだが、時々、リベラルに振れることがある。これは保守層にとってはあまり気持ちいいことではなく、安倍氏死去に伴って保守派離れが加速する危険性がある。
もう一つ、世論調査の変化は「女性や子供の不安」が数字に表れたのではないか。だとしたら、無党派層も自民党に温かい目を向けてくれないかもしれない。
いや、それでもLGBT法案をやりたいと言うなら結構、やってください。そして、その後できるだけ早い時期に衆院を解散し、選挙をやってみたらどうか。政治家は国民に選ばれているので、ある程度の裁量は与えられている。ただ、国民にも「選択する権利」を与えてほしいのだ。 (フジテレビ上席解説委員・平井文夫)