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安倍総理の志は死なない!!

突破する日本 西側の価値押し付けに拒否感示す新興国 G7では連携が課題に「LGBT支援や同性婚」めぐり日本にも迫る

広島で19~21日に開催されるG7(先進7カ国)首脳会議(G7広島サミット)では、「グローバルサウス」と呼ばれる新興国・途上国との連携が課題となる。
ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの新興5カ国の枠組み「BRICs(ブリックス)」がG7への対抗軸として存在感を高めており、「西側」と距離を置きたい国々の「拡大BRICs」への加盟申請も相次いでいる。
新興7カ国を指す「E7」(中国、インド、ロシア、ブラジル、インドネシア、メキシコ、トルコ)の世界経済に占める国内総生産(GDP)のシェアは2030年にはG7を上回ると予測されている。
G7の相対的地位が低下する中で、どう新興国・途上国を引き付け、ウクライナ支援や台湾問題に同調させるかは困難な課題だ。ロシア、中国が中心国であり、関係の深い国も多いからだ。
新興国・途上国がG7と距離を置きたい理由は、ロシア、中国との関係だけではない。G7を含む「西側」が自分たちの価値を押し付けてくることへの拒否感がある。
ロシアのウラジミール・プーチン大統領は昨年9月30日、西側批判の演説を行った。テーマはウクライナではない。「彼ら(西側諸国)は今、道徳、宗教、家庭を徹底的に否定する方向に進んでいる」とし、「私たちは小学校から学校で、(中略)男性と女性以外に性別があることを教え、性転換を受けさせるのか?」と述べた。
LGBT(性的少数者)に過剰に配慮した教育への批判だ。イスラム教の国々でも、LGBTへの過剰な配慮は難しい。それは単なる偏見でもなかろう。
「西側」の価値が押し付けられるのは新興国・途上国だけではない。サミット議長国の日本も対象となっている。
共同声明にG7が一致した姿勢を示すとして、LGBTらの権利保護を明記するという。ラーム・エマニュエル駐日米国大使など15の駐日外交官らが、LGBT支援や同性婚を日本政府に迫っている。
自民党では強い反対や懸念がありながら、議長の岸田文雄首相に手ぶらで臨ませるわけにはいかないとして、G7サミット開催前にLGBT理解増進法案を国会に提出することにした。圧力に屈したかたちだ。
LGBTの権利保護には、西側の国内でも強い拒否感がある。
米国の政治学者、マイケル・リンド氏は、欧米では現在、高学歴のグローバル・エリートが庶民の生活上の課題を軽視して、多様性・ジェンダー・環境などの新規で観念的なテーマばかりを重視する「アイデンティティ・ポリティクス」を行い、庶民との間で「新しい階級闘争」が行われていると指摘している(『新しい階級闘争』東洋経済新報社)。
国内での反発は、新興国・途上国が共有するものである。
やぎ・ひでつぐ 1962年、広島県生まれ。早稲田大学法学部卒業、同大学院政治学研究科博士後期課程研究指導認定退学。専攻は憲法学。第2回正論新風賞受賞。高崎経済大学教授などを経て現在、麗澤大学教授。山本七平賞選考委員など。安倍・菅内閣で首相諮問機関・教育再生実行会議の有識者委員を務めた。法務省・法制審議会民法(相続関係)部会委員、フジテレビジョン番組審議委員も歴任。著書に『憲法改正がなぜ必要か』(PHPパブリッシング)など多数。