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安倍総理の志は死なない!!

中国・ロシア海軍が「新たな枠組み」で日本海での合同演習を開始…狙いは東アジアにおける「日米の戦力分散」

中露が新たな枠組みの合同演習を実施
中国国防部とロシア国防省の発表によると、7月20日から23日までの日程で、日本海において中国とロシアの海軍による合同演習「北方連合2023」が行われていた模様である。中国国防部によると、この演習には中露双方から、10隻以上の艦艇と30機以上の航空機が参加したとされている。http://www.mod.gov.cn/gfbw/qwfb/16238615.html
防衛省統合幕僚監部の発表によると、これに先立つ7月16日から17日にかけて、中国海軍ドンディアオ級情報収集艦「AGI-796/6,000トン級」1隻が対馬海峡を北上して日本海へ向かったのに続き、17日には同海軍ルーヤンIII級ミサイル駆逐艦DDG-119,121/7,500トン級」2隻、ジャンカイII級フリゲート「FFG-542,598/4,000トン級」2隻及びフチ級補給艦「AO-889/23,000トン級」1隻の計5隻が日本海へ進出するのが確認された。
おそらく、先発の情報収集艦は本演習が行われる周辺海域において、同演習に関するわが国や米軍の偵察活動などの情報を収集する役割を担っているものと考えられ、後続のこれら5隻が本演習の参加艦艇だと見られる。中露双方の国防省の発表にもこの5隻が中国海軍の参加艦艇として登場している。
一方、ロシア太平洋艦隊からは、ウダロイI級駆逐艦「マーシャル・トリビュート:DD-564/7,900トン級」同「アドミラル・パンテレーエフ:DD-548/7,900トン級」とステレグシチー級フリゲート「グレミャーシチー:FF-337/2,200トン級」同「アルダー・ツィデンジャポフ,:FF-339/2,200トン級」の計4隻が参加し、太平洋艦隊の主力艦艇部隊である沿海州諸兵科連合艦隊の司令官「ヴァレリー・カザコフ少将」が指揮官を務めている。
なお、この「北方連合2023」という演習名称は、今回初めて確認されたものであり、年一回を基準に実施されている中露海軍合同演習「海上連合〇〇〇〇(西暦)」とは別の枠組みで計画された演習と思われる。
注目すべきは、今回の参加艦艇がすべて中国海軍北海艦隊の所属艦であることや、今回の報道で中国側の指揮官が北海艦隊の副司令官「邱文生(キュ・ウェンシェン)少将」であるという内容から、中国海軍北海艦隊とロシア海軍太平洋艦隊の枠組みで行われた、初めての演習であったということである。
中国もロシアを軍事的に利用
これはどういうことかというと、7月7日の拙稿『「もし台湾有事が起きたらロシアが参戦してくる」…最新の「中国・ロシア海軍共同軍事行動」から分かる《中露軍の一体化》の恐ろしさ』で触れたように、「ロシアによるウクライナ侵攻の失敗で、ロシア全軍から応援が必要となったことから極東方面の防衛が手薄となり、次第にロシアが中国を頼り始めたことがきっかけとなって、中・露海軍の連携が特に顕著になってきた」ことを利用し、中国海軍の北海艦隊がロシア太平洋艦隊と共同して日本海における作戦能力を高めようと企図しているということである。
これによって、東シナ海や南シナ海で中国軍が何らかの作戦行動に出た場合、日本海で中国北海艦隊とロシア太平洋艦隊の合同部隊が挑発的な陽動作戦を行うことによって、海上自衛隊や航空自衛隊の一部戦力がこの方面に拘置されることになる。一方で、中国海軍の東海艦隊や南海艦隊は、東シナ海や南シナ海の作戦に戦力を集中することが可能となる。
要するに、中国軍による尖閣諸島の実効支配や台湾侵攻などの際における、日米の戦力分散を狙っているということだ。