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安倍総理の志は死なない!!

<紅海>中国海軍艦艇は救難信号を聞いても「助けてくれない」


<中国国営テレビチャンネルは、海賊から商船を守る中国艦船の活動が15周年を迎え、多くの商船を守った、というプロパンダ映像をネットに投稿したが、実際には「助けてもらえなかった」という声が多い>


アフリカ東端のエチオピアやジブチ、ソマリアなどを含む地域「アフリカの角」。その周辺海域の安全確保に中国海軍が貢献しているという内容の動画を中国政府系のアカウントがソーシャルメディアのX(旧ツイッター)に投稿したところ、異議を唱えるコミュニティノートが付いた。紅海を航行する商船からの救難信号に中国海軍が対応しなかったと見られる事例があったからだ。


国営の中国中央電視台(CCTV)の軍事専門チャンネルのX公式アカウントは25日、2分間のプロパガンダ動画を投稿した。アフリカの角とアラビア半島にはさまれたアデン湾における中国海軍の護衛任務が、開始から15周年を迎えたという内容だった。アデン湾で中国海軍の艦艇は数多くの商船を海賊の攻撃から守ってきたというのが中国の主張だ。


ところが11月後半、この海域で海賊対策任務に就いていた中国海軍の艦艇3隻が、商船からの救難信号を無視したと非難される事態が起きた。米国防総省によれば、この商船はソマリアの海賊の攻撃を受けた上、その後イエメンのフーシ派からのロケット攻撃の標的にもなったという。


中国海軍が活動するバベルマンデブ海峡


「国際的な責務を果たす」はずが
この後も、中国海軍の3隻の艦艇(最新鋭の大型駆逐艦を含む)は、紅海を航行中の複数の商船から救難信号が発せられたにもかかわらずまったく応答しなかったとされる。紅海ではフーシ派によるドローンやミサイルによる攻撃が海上交通を脅かしている。


中国共産党機関紙人民日報系のタブロイド紙、環球時報のXの公式アカウントはCCTVの動画をリポスト。またウェブサイトには、この海域の海上交通路は「中国の貿易およびエネルギーの生命線」だとする関連記事を掲載した。


問題の動画は、中国海軍の艦艇がソマリア沖を監視する様子に、海賊を制圧する場面とされるアーカイブ映像を組み合わせたもの。2008年12月26日に海軍の特別部隊が発足して以降、中国海軍の艦艇は1600回の護衛任務に就き、中国とそれ以外の国々の船7200隻を守ったという。


「海賊が多く出没するこの海域に軍艦を派遣し護衛を行うことは、中国の国家戦略的利害を守るだけでなく、国際社会に公共の安全を守るツールを提供することで国際的な責任や義務を果たすことにもなる」という専門家の発言を環球時報は伝えている。


ところがX上では、こうした表向きの主張と、紅海の入り口にあたるバベルマンデブ海峡付近で中国海軍が救難信号に対応しなかった問題の矛盾を指摘する声がすぐに上がった。フーシ派は、イスラエルに向かう商船の同海峡の航行を阻止する意向を明らかにしている。


環球時報の投稿にはコミュニティノートが付き、中国海軍が11月下旬に商船の救難信号を放置した件を報じた本誌英語版の記事にリンクが貼られた。


この時、米国防総省の報道官は、国際的な海洋法やルールでは「近くを航行中のすべての船が救援に駆けつけなければならない」ことになっていると指摘した。


コミュニティノートとは、最近注目のXの新機能だ。誤情報に対抗するためのものだが、あくまでもユーザーの投稿頼りで、真偽を確認するメカニズムはない。


2017年以降、中国海軍の特別部隊はジブチにある兵站基地から補給を行っている。現在、派遣されている中国海軍第45次護衛艦隊は、駆逐艦「ウルムチ」、フリゲート「臨沂」、総合補給艦「東平湖」から成る。


フーシ派の攻撃は見て見ぬふり?
同艦隊はアデン湾に10月2日に到着したが、商船に対するフーシ派の攻撃に関与せよとの司令は受けていないようだ。フーシ派は攻撃に対艦弾道ミサイルも使用しており、紅海の北の海域で香港籍のコンテナ船に向けて発射された事例がある。


本誌は中国外務省と中国国防省に電子メールでコメントを求めたが、回答は得られなかった。


アントニー・ブリンケン米国務長官は12月に入り、中国の王毅(ワン・イー)外相との電話会談で、この海域における国際的な責任を果たすよう釘を刺した。


「紅海におけるフーシ派の商船に対する攻撃は、海上の安全と、あらゆる国が順守義務を負う国際法に対する受け入れがたい脅威となっている」と、ブリンケンは王に述べた。


アメリカは有志連合を創設して紅海の航行の安全を守ろうとしているが同盟国は及び腰で、中国の国営メディアはアメリカ主導の作戦に批判的な報道を続けている。


「アメリカの呼びかけは同意を得られなかった。(同盟諸国から)同調されるのに慣れているアメリカが、今やノーを突きつけられている」と環球時報は25日の記事を締めくくっている。