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安倍総理の志は死なない!!

「中国軍の工作だ!」自衛隊ヘリ事故、現地で流布する“陰謀論”尖閣問題が身近ゆえの島民たちが持つ「疑い」

消息が不明になったヘリに搭乗していた坂本雄一陸将(写真・時事通信)

「中国軍の工作だ!」自衛隊ヘリ事故、現地で流布する“陰謀論”尖閣問題が身近ゆえの島民たちが持つ「疑い」© SmartFLASH
4月6日に発生した、陸上自衛隊ヘリコプターの“消失”から3日。いまだ、同ヘリに搭乗していた第8師団長の坂本雄一陸将はじめ、幹部ら10人の行方は分からないままだ。
「宮古島周辺で突然、ヘリがレーダーから消えました。その2分前まで通信がおこなわれており、救難信号も出ていないため、『急に何かが起きた』としかいえない状態です。自衛隊は、潜水艦救難艦や300人規模での陸上での捜索などもおこなっていますが、まだ10人を見つけられていません。回転翼や燃料タンクらしき漂流物だけが発見されている状況です」(週刊誌記者)
森下泰臣陸上幕僚長は、6日の夜に記者会見で「当該期の燃料枯渇、および発見された機材から総合的に判断し、航空事故と概定した」と、今回の事件を事故だと断定している。
しかし、現場となった宮古島の島民の間では、別の説がささやかれているという。
「何も証拠があるわけではありませんが、中国軍の工作員がレーザーを使ったり、あらかじめ、ヘリに工作をするなどして、“撃墜した”のではないか、とみんなで話し合ってます。今回、事故が起きたUH60ブラックホークは、米軍を中心に、世界中で愛用されている定番のヘリ。機械トラブルが原因による事故とは思えません。昼間で、天候が荒れていたわけでもないし、やはり何かあったんじゃないかと……」(宮古島で居酒屋を営む店主)
陸自トップの発表に逆らう“陰謀論”が、なぜ現地で流布しているのか。
「そもそも、宮古島、石垣島、そして与那国島の人たちは、沖縄本島や内地の人たちと感覚が違いますから。尖閣諸島が身近にあって、中国海警局の船を目撃した人たちもたくさんいるんですよ。台湾有事になったら、絶対に巻き込まれるという感覚があります。だから、今回の件も真っ先に中国を疑ってしまうんです。恐ろしいし、早く解明してほしいですよ」(前出・居酒屋店主)
少しでも早く、搭乗者10人が発見されることを願いたい。

メコン川流域の中国ダム、「季節外れの洪水や干ばつ引き起こす懸念強まる」と海外メディア

中国が東南アジアのメコン川流域に建設あるいは計画中の水力発電ダムについて、ロイター通信は「季節外れの洪水や干ばつを引き起こす懸念が強まっている」と報じた。複数の研究者は「ダムによって水流が変化し、コメ栽培などに欠かせない川底の沈殿物もせき止められている」とも指摘した。

中国がメコン川流域に建設あるいは計画中の水力発電ダムについて、海外メディアは「季節外れの洪水や干ばつを引き起こす懸念が強まっている」と報じた。写真は景。© Record China
チベット高原から南シナ海へ約4350キロを流れるメコン川は、流域の中国、ラオス、ミャンマー、タイ、カンボジア、ベトナムに住む数千万人の農業や漁業を支えている。
ロイター通信によると、石炭への依存を減らし、再生可能エネルギーを増やす方針の中国では1995年以降、「ランカン川」の名で知られるメコン川上流に十数基のダムが建設された。うち五つはそれぞれ100メートル以上の高さがある「巨大ダム」だ。
中国はメコン川に流れ込む支流にも少なくとも95基の水力発電用ダムを建設済みで、今後も数十基の建設を予定している。また、メコン川下流にある他国でのダム建設事業への資金援助も行っている。
下流域のタイ、カンボジア、ラオス、ベトナムから成る政府間機関「メコン川委員会(MRC)」の推定では、チベット高原や中国・ミャンマーのメコン川上流域にある水力発電ダムで得られる電力は、年間約40億ドル(約5237億円)相当に上る。
ただ、メコン川流域で計画されているダムがすべて建設された場合、川の堆積物が上流で閉じ込められるため、流域の主食であるコメの栽培に影響を及ぼしかねないと複数の研究で予測されている。
さらに、ダムが魚の回遊を止めたり水流を変えたりすることで生じる漁獲量低下の損失額は、MRCによると2040年までに230億ドル近くになると見込まれている。加えて森林や湿地、マングローブの破壊による損害は1450億ドルにまで上る可能性もあるという。
19年から21年にかけての干ばつでは中国のダムが多大な水量をせき止めたことが原因でメコン川の水位が記録的に低下。干ばつが悪化したことがメコン川でダムの監視を行う米シンクタンク、スティムソン・センターと環境調査会社「アイズ・オン・アース」の衛星監視による調査で判明した。
中国は降雨量が少なかったためだとして調査結果に反論。20年には年間を通じて自国内の流量データを共有することでMRCと協定を結んでいるとしている。環境保護団体「リバーズ・インターナショナル」のタイ・ミャンマー支部で代表を務めるピアンポーン・ディーツ氏は「川が水力発電の動力源のためだけに使われてしまえば、大勢の命や生活に影響する。食料や伝統、習慣、生き方に関わる問題だ」と警鐘を鳴らした。(編集/日向)

EV普及で「オーストラリア」が超重要国になった訳

日本にとっても大事なリチウム供給国になった
宮路 秀作 : 代々木ゼミナール地理講師、日本地理学会企画専門委員会委員
2023年04月06日

西オーストラリア州ポートヘッドランドで行われているリチウムプロジェクト(写真: Carla Gottgens/Bloomberg)
突如として欧米を中心に「脱炭素社会」が叫ばれるようになった昨今。そんな中、電気自動車の開発を急ごうとする動きが広がっていますが、電気自動車の普及によって、オーストラリアに世界中の注目が集まっています。本稿では代々木ゼミナールのカリスマ地理講師、宮路秀作氏著『ニュースがわかる!世界が見える!おもしろすぎる地理』より、電気自動車の登場で変化する世界情勢について解説します。
加速する産業構造の転換
最近「脱炭素社会」という理念が世間を騒がせています。SDGsの17目標の1つ、「気候変動に具体的な対策を」にもあるように、とりわけ「炭素」が目の敵にされています。
地球温暖化が叫ばれるきっかけとなったのは、1992年の地球サミット(国連環境開発会議)だったように思います。その後、京都議定書が発効され、「先進国だけでなく、途上国にも温室効果ガスの排出削減の努力を求めよう!」とパリ協定が結ばれました。
自動車業界では、ガソリン車をなくし、電気自動車(EV)の開発を急ごうとする動きが進んでいます。電気自動車はガソリン車と比べて部品数が少ないことで知られています。そのため、電気自動車への産業構造の転換は、日本国内から雇用が失われることとなるだけでなく、「資源小国」である日本ではエネルギー資源の海外依存がこれまで以上に進むと考えられます。
はたして、「世界の潮流はこうだから!」とそれに倣うことが、本当に日本の国益になるのかと、私は単純に疑問を抱いています。日本自動車工業会会長であり、トヨタ自動車の豊田章男会長は、「車がすべて電気自動車になればいいという、そんな単純なものではない」とコメントされています。
まず電気自動車を作るには、電池が必要です。そして、それはリチウムなしでは製造できません。単純な話として、電気自動車の普及が進めば進むほど、「リチウムの安定供給」が課題となります。実際に2023年には需要が供給を上回ると考えられていますので、供給量の増大は急務といえます。
世界最大のリチウム産出量をほこるのはオーストラリアです。日本はオーストラリアから、自動車の原材料となる鉄鉱石や石炭はもちろんのこと、液化天然ガスや肉類なども輸入しており、日本の経済発展、日本人の生活にとって必要不可欠な国です。
さらに日本とオーストラリアはほぼ同経度に位置しているため、日本からオーストラリアに向かう船舶は必ず東南アジアを通過します。つまり、日本の経済発展にとって東南アジア諸国との良好な外交関係も必要不可欠であるといえます。積極的な東南アジア諸国への投資が、オーストラリアがこれからも日本にとっての重要な資源供給地となっていくということです。
「地政学的リスク」という言葉の危うさ
こういった状況は「地政学的に重要」と表現されがちです。これは「鉱産資源の埋蔵や世界における地理的位置を考慮すれば、政治的に重要な場所となりうる」ということであり、地理学的にいえば「政治地理学」なのであって、個人的には「地政学」という言葉にはどうも違和感を覚えます。
日本人は、あまりにも「地政学的リスク」という言葉に落とし込んで、事象を詳細に説明できない人が多い印象があります。「わかったような、わからないような……」の好例が「地政学的リスク」という言葉ではないでしょうか。
さて、オーストラリアのリチウム産出量が世界最大という話をしましたが、「世界最大というより、ほとんどオーストラリアでしか産出していない」というのが現状です。一強状態というわけです。
実は、南アフリカ共和国で行われていたアパルトヘイトの廃止には、レアメタルが関わっていたことをご存じでしょうか?
レアメタルとは、「埋蔵量が少ない」「産出しても有用な量が少ない」などの金属のことで、世界では旧ソビエト地域、中国、アフリカ大陸南部などに埋蔵が偏在しています。同じく埋蔵が偏在している原油とともに、安定供給が難しい資源の1つです。
世界で埋蔵が確認されている原油のおよそ6割がペルシア湾岸に集中していることを考えると、中東情勢が原油の産出量、ひいては石油価格に影響を与えることは必然です。多くの人々が、これを「地政学的リスク」と呼んでいるわけです。
かつて冷戦の時代は、東西間交流があまり行われていませんでした。つまり西側諸国はソビエト連邦からのレアメタルの輸入が困難だった時代です。そこで、レアメタルの供給地として南アフリカ共和国を重要視していました。
南アフリカ共和国はレアメタルを輸出する代わりに、「アパルトヘイトの黙認」を要求していました。西側諸国はアパルトヘイトを黙認し、南アフリカ共和国からレアメタルを輸入していたわけです。
しかし、東西冷戦が終結すると、西側陣営は旧ソビエト諸国からのレアメタル輸入が可能となり、南アフリカ共和国のレアメタル供給地としての重要性が低くなります。
そうなると、西側諸国は手のひらを返したように「アパルトヘイトはけしからん!」とばかりに経済制裁を強めていきました。これによって、ついに南アフリカ共和国はギブアップ。アパルトヘイト廃止にいたったというわけです。
現在のオーストラリアは「多文化主義(multiculturalism)」を採用しており、白豪主義はすでに撤廃しています。最近はアボリジニー(aborigine)とは呼ばず、「オーストラリア先住民(Indigenous Australians)」などの呼称が広まっています。南アフリカ共和国のようなことはないでしょう。
オーストラリアの競合相手になりそうな3国
リチウムは海水にも含まれていますが、密度が低いため商業ベースに乗せられるだけの抽出量は期待できません。埋蔵量から考えて、オーストラリアの競合相手国になりそうな国は、ボリビア、チリ、アルゼンチンが考えられます。これら3カ国を結ぶ「リチウムトライアングル」には塩湖が見られ、ここからリチウムが採掘されています。
ボリビアの塩原(学術的には「塩原」が正しい)といえば、ウユニ塩原が有名です。私は2018年3月にウユニ塩原に行きましたが、それはそれは言葉を失うほどの絶景でした。
南アメリカ大陸西部を縦断するアンデス山脈は、西側のナスカプレートと南アメリカ大陸を乗せた南アメリカプレートが狭まることで形成されました。2つのプレートがぶつかることで、かつては海だった場所が、海水をたたえながら隆起し、現在のアンデス山脈を形成しました。そのためこの地域には塩原が数多くみられ、リチウムの埋蔵がみられるようです。
ボリビア政府は、世界のリチウム埋蔵量のおよそ70%がウユニ塩原下にあると主張しています。ウユニ塩原はまだ世界遺産に登録されていません。よって今後は開発が進むことは容易に想像できます。開発が進む前に、ウユニ塩原を是非観に行って欲しいところですが、ボリビアの地域住民からはリチウム採掘による環境破壊を心配する声が上がっています。
ペルーにもリチウムが埋蔵されている?
ボリビアのウユニ塩原がアンデス山脈の隆起によって海水が持ち上げられてできたものであるならば、「隣国ペルーでもリチウムの埋蔵がみられるのではないだろうか?」と仮説を立てて調べてみると、ペルーには近隣諸国を上回るリチウム埋蔵量が存在しているとのことです。これを主張しているのはカナダの鉱山会社Macusani Yellowcake社です。
資源用語に「マインライフ」というものがあり、「資源が枯渇するまでの操業期間」を意味します。つまり「鉱山寿命」という意味です。ペルーでのリチウム採掘のマインライフは、54年になるとの見通しがあるようで、これが「54年分も!?」なのか、「たった54年分……」となるかは、まだ未知数といえます。
SDGsに関連して、ESG課題というものがあります。これは2006年に当時の国連事務総長が金融業界に対して「投資家は、自らの投資によって環境や社会への責任を考えるべきである」と提言しました。
つまり、投資の際には「環境(Environment)」「社会(Social)」「管理体制(Governance)」を意識しようということで、これは「ESG課題」と呼ばれています。個人だけでなく企業の取り組みにも反映されるようになりました。
ESG課題への取り組みを怠ることは、その企業への悪い評価へとつながりかねないと考えられているわけです。世界的に「脱炭素社会」の構築を目指しているときに、ガソリン車にこだわることは企業活動にとってマイナスになりかねないということです。
こうしたことを背景にBMWは「オーストラリア産リチウム」を使用することを明言しており、自社の「サスティナビリティ」、つまり持続可能な開発への貢献度をアピールしています。
特定の国や地域での産出がみられる場合、鉱山開発のための投資が行われるのが常ですが、なかなかそれは難しいようです。南アメリカ大陸のリチウムトライアングルを考えれば、まだまだ近い将来の話ではなさそうです。
転換を迫られるオーストラリアの石炭産業
電気自動車の開発・普及が進むとともにリチウム需要が急増し、資源供給地としてのオーストラリアの重要性が増します。
そこでオーストラリアでは、それまで石炭を採掘していた鉱山従事者がリチウムを採掘するようになっています。「エコ」「気候変動」「環境保護」など、実に耳に心地の良い言葉の前には、個人の持つ理念や信条はねじ伏せられてしまうのが現実です。
オーストラリアの石炭採掘業者には、石炭への愛着があります。長年、オーストラリアの経済を支え、電力を支えている資源です。オーストラリアは今もなお、石炭火力発電が中心の国です。確かに1人あたり二酸化炭素排出量が多い国ではありますが、人口規模が2500万人程度と小さく、国としての二酸化炭素排出量はそれほど多くはありません。
オーストラリアの人たちにすれば「俺たちってそんなに二酸化炭素を出していないのに、なぜ愛着ある石炭採掘を止めてリチウムを掘らねばならんのだ?」との想いがあるでしょう。
「正しい行動」とは一体何なのか? 豊田章男会長の立場では「雇用を守り、日本経済を盛り上げていくこと」でしょう。環境保護団体の立場では、「脱炭素社会」の構築でしょう。日本で電気自動車の開発を行ってもカーボンニュートラルにはなりませんし、個人的にはカーボンニュートラルはヨーロッパ諸国が仕掛けた「トラップ」であると思っています。